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ありふれたひと時に、微笑みを  作者: 白熊 猫


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10/20

第10話 やすらぎコーヒー

ゆるやかでほっこりした日常系の話を書いてます。

1話あたり2~3分で読める短いショートショート形式で、基本的にどの話からでも楽しめるようにしていく予定です。

楽しんで読んでもらえると嬉しいです。

本日ようやく、空社長は大きな仕事を無事に終わらせることができた。

新しいシステムの導入も、取引先との調整も、長引いた会議も――すべて終わったのだ。

取引先とのやり取りの最中は、いつもの凛とした表情がさらに厳しくなっていた空さんも、今は少し肩の力が抜けたように見える。

「ふぅ……やっと落ち着いたな。」

空さんが小さく息を吐き、私の方を見て微笑む。

「コーヒーでも飲みながら、ひと息つこう。」

「はい。少し甘いものも用意しましょうか。」

休憩室に入ると、私は手早く二人分のコーヒーを淹れる。

お湯をゆっくり注ぐと、豆の香ばしい香りがふわりと立ち上る。

淹れたてのコーヒーを空さんに手渡す。

「ありがとう、葵。うん……いい香りだ。美味しい。」

今日のコーヒーは、ほんの少し苦味があるけれど、口当たりはまろやかなものだ。

張りつめていた空さんの気持ちも、少しずつほどけていくのを感じる。

テーブルには、小さなクッキーも用意した。

チョコチップが散りばめられ、表面は軽くこんがり焼いている。

指で触れると、ほろりと崩れる柔らかさだ。

「いただきます。」

空さんが一口食べると、ほんの少し私の方を見て微笑んだ。

「……香ばしいな。甘さもちょうどいい。」

「バターの香りも楽しめるように、少し温めておきました。」

私もクッキーを口に運ぶ。

甘さとバターの香りがふんわり口の中に広がり、思わず目を閉じてしまう。

コーヒーを口に含み、クッキーをかじる。

カップの熱さとクッキーの甘さが、疲れた体にじんわり染み渡る。

「こういう時間もいいですね。」

「うん……2人でこうして、ゆっくりできるのも久しぶりだな。」

ほろ苦いコーヒーと甘いクッキーが、心までじんわり満たしてくれる。

窓から差し込む午後の光に包まれ、静かに寄り添うひととき。

今日は2人で少しの間だけ仕事のことを忘れて、ただゆっくりと時間を過ごす。

それだけで、胸の奥がほっと温かくなる。

このまま、時間が少しだけ止まればいいのに――心の中で、そっと思った。

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