王様らぶと親友ヌヌ
場面は変わり、ジェネリア家の庭園。若き王様らぶは、親友のヌヌと過ごすひと時を楽しんでいた。
「ヌヌ、今日は何をして遊ぶのだ?」
「うーん、鬼ごっこはどう?」
「鬼ごっこか!僕様は足が速いのだぞ!」
らぶは王としての重圧を感じる日々を送っているが、ヌヌと一緒にいる時だけは普通の少年に戻ることができた。
「僕は最強なのだ!」と強がりを言うらぶに、ヌヌは屈託のない笑顔で「うん、らぶはすごいよ!」と返す。
二人の間には、身分を超えた固い友情があった。
「ねえらぶ、王様って大変?」
ヌヌの純粋な質問に、らぶは少し考え込む。
「…大変だぞ。みんなが僕様に期待してるし、立派でいなくちゃいけないし」
「でも、らぶはらぶでいいんじゃない?」
「らぶはらぶ?」
「うん!僕はらぶのことが好きだよ。王様だからじゃなくて、らぶだから」
らぶの目に涙が浮かぶ。こんなことを言ってくれるのはヌヌだけだった。
「ヌヌ…ありがとうなのだ」
「どういたしまして!」
その時、庭の向こうからハートがこちらを見ているのに気づいた。
「あ、お姉ちゃんだ」
「ハートも一緒に遊ぶのだ!」
らぶが手を振るが、ハートはすぐに隠れてしまった。
「あれ、どうしたんだろう?」
「ハートは恥ずかしがり屋だからな。でも、本当は僕たちと遊びたいと思ってるはずなのだ」
らぶはハートの気持ちを理解していた。実の兄妹として、お互いを大切に思っているのだ。
「今度、ハートちゃんも一緒に誘ってみようか」
「それはいい考えなのだ!きっとハートも喜ぶぞ」
二人は楽しそうに走り回り続ける。
その様子を窓から見ていたマギが、温かい微笑みを浮かべていた。
「ヌヌ様、本当に可愛らしい…じゃなくて、らぶ様とヌヌ様の友情は素晴らしいですね」
執事として、そして一人の青年として、マギは彼らの純粋な友情を心から応援していた。
庭園に響く笑い声は、ジェネリア家に新しい風を運んでいるようだった。
「僕様とヌヌは永遠の親友なのだ!」
「うん!ずっと一緒だよ!」
二人の友情は、これから起こる様々な困難を乗り越える原動力となっていく。
しかし、まだ彼らはその時の自分たちが、どれほど貴重な時間を過ごしているのか知る由もなかった。