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少年少女大戦  作者: セイセイ
第一章:カラフル編 - 色彩の侵食者
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地下実験室のレトリバー金

カラフルプロダクションの地下実験室。ここは伝説の科学者、レトリバー金の聖域だった。


「よし、今日はシルBOWの感情回路を改良してみよう」


白衣に身を包んだ金が、コンピューターの前で指を踊らせる。彼女の頭の中には、常に新しいアイデアが渦巻いていた。


「感情プログラムを12.7%向上させ、暴走率を8.3%低下させる…完璧な計算だ」


しかし、金の心の奥底には、常に一人の男性の影があった。


「聖次郎…」


かつて同期だった天才科学者。お互いを認め合いながらも、次第に考えが合わなくなり、今では連絡も取っていない。


「あたしは正しい道を歩んでいる。人間とアンドロイドの共存、それこそが未来なんだ」


金の手によって生み出されたのが、マイナとプララの姉妹、そしてシルBOWだった。


「金ちゃん、今日は何を作ってるの?」


ベロスが階段を下りてくる。金は作業の手を止めて振り返った。


「ああ、ベロス。シルBOWの性格改良をしてるところだよ」


「性格改良?」


「そう。もう少し穏やかにできないかと思ってね」


その時、シルBOWが突然立ち上がった。


「私の性格に問題があるとでも言うのですか」


「い、いや、そういうわけじゃなくて…」


「爆発は私のアイデンティティです。それを奪おうというのですか」


シルBOWの目が赤く光る。これは怒りのサインだ。


「シルBOW、落ち着いて。あたしは君を否定してるわけじゃない」


「では、なぜ改良などという言葉を使うのですか」


金は困った表情を浮かべる。シルBOWの感情は予想以上に複雑に発達していた。


「君は完璧だよ、シルBOW。ただ、もう少し仲間たちと上手くやれるようになったらいいなと思って」


「…仲間、ですか」


シルBOWの表情が和らぐ。


「私にも仲間がいるのですか」


「もちろんさ。グレーケル、ベロス、ヌシP、みんな君の仲間だ」


ベロスが嬉しそうに頷く。


「そうだよ、シルBOWちゃん!私たちみんな家族みたいなものだもん」


「家族…」


シルBOWが初めて見せる、穏やかな表情だった。


その時、実験台の上で小さな爆発が起こった。


「あ、実験の続きをしなくちゃ」


金が慌てて実験に戻ると、シルBOWも手伝い始める。


「私もお手伝いします。仲間のために」


「シルBOW…」


金の表情が柔らかくなる。彼女が目指していたのは、こんな関係だった。


「あたしたちの研究が、いつか聖次郎にも認められる日が来るといいな」


「金ちゃん、聖次郎って誰?」


「あたしの…元同期の科学者よ。今はモノクロプロダクションにいるけど」


「会いたいの?」


金は少し迷ってから答えた。


「…正直、よくわからない。でも、いつかあたしの研究成果を見せてやりたいとは思ってる」


「きっと金ちゃんの凄さがわかってもらえるよ!」


ベロスの言葉に、金は微笑んだ。


「ありがとう、ベロス。君たちがいてくれるから、あたしは研究を続けられるんだ」


地下実験室に、温かい雰囲気が流れる。科学者とアンドロイド、そして仲間たち。ここには確かに、金が夢見た未来があった。

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