秘書ベロスの元気な挨拶
翌朝、カラフルプロダクションに響く元気な声。
「こんにちわんだふるー!」
ベロスの挨拶と共に、今日という新しい一日が始まる。彼女の持つ犬のような優れた嗅覚は、ただ匂いを嗅ぎ分けるだけではない。人の心の状態まで感じ取ることができるのだ。
今朝もいつものように事務所を回りながら、ベロスは仲間たちの様子を確認していく。
「レトリバー金ちゃーん!」
地下実験室の扉を開けると、徹夜明けらしい金が実験台に突っ伏していた。
「むにゃ…ベロス?おはよう…」
「あー、また徹夜しちゃったんだね。お疲れ様!」
ベロスは慣れた様子で、金にコーヒーを差し出す。
「ありがと。昨日のシルBOWの暴走の原因を調べてたんだ」
「シルBOWちゃん、大丈夫?」
「爆発こそが私の美学です」
振り返ると、シルBOWが無表情でそう答えた。彼の周りには、まだ煙が立ち上っている。
「あはは、シルBOWちゃんも元気そうだね!」
ベロスは屈託なく笑う。彼女にとって、仲間が元気でいることこそが何よりも大切なのだ。
次に向かったのは、ヌシPの部屋。ドアを開けると、案の定また全裸で回転している。
「ヌシPー!おはよー!」
「おお、ベロス殿!アタクシの美的回転をご覧ください!」
「うん、とっても綺麗に回ってるよー!でも服着よう?」
「美に服は必要ありません!」
「でもお姉ちゃんが心配してるよ?」
ヌシPの回転が止まる。
「…グレーケル殿が?」
「うん!昨日も胃薬飲んでたよ」
「それは…申し訳ございません」
ヌシPは珍しく反省した様子で服を着始める。ベロスの純粋な言葉には、不思議と人の心を動かす力があった。
最後にグレーケルのオフィスを訪れると、彼女は既に仕事を始めていた。
「お姉ちゃん、おはよー!」
「おはよう、ベロス。今日も早いのね」
「うん!みんなが元気だったよ!ヌシPも服着てくれたし、レトリバー金ちゃんも実験頑張ってる!」
グレーケルの表情が和らぐ。ベロスの報告を聞いていると、山積みの書類も少し軽く感じられる。
「そう、よかったわ。ありがとう、ベロス」
「えへへ、どういたしまして!」
その時、外から子供の泣き声が聞こえてきた。ベロスの耳がぴくりと動く。
「あ、誰か困ってる?」
窓の外を見ると、小さな女の子が迷子になって泣いている。
「お姉ちゃん、ちょっと行ってくるね!」
「ベロス、危なくないようにね」
ベロスは事務所を飛び出すと、泣いている女の子の元へ駆け寄った。
「どうしたのー?」
「おかあさんが…いない…」
「大丈夫だよー!一緒に探そう!」
ベロスは女の子の手を取ると、持ち前の嗅覚を活かして母親を探し始める。しばらくすると、心配そうに探し回っている女性を発見した。
「おかあさーん!」
「あ、ありがとうございます!」
母親は涙を流しながらベロスにお礼を言う。
「どういたしまして!みんなが笑顔でいるのが一番だよー!」
事務所に戻ったベロスを、仲間たちが温かい目で迎える。
「今日もお疲れ様、ベロス」
「お姉ちゃん、私ね、みんなが笑顔でいるのを見るのが一番好きなんだ!」
「そうね。その気持ちがあるから、みんなベロスを慕っているのよ」
ベロスの存在は、カラフルプロダクションの太陽のようだった。彼女がいるだけで、どんなトラブルも笑顔に変わっていく。
今日もまた、事務所に明るい笑い声が響いている。