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少年少女大戦  作者: セイセイ
第一章:カラフル編 - 色彩の侵食者
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秘書ベロスの元気な挨拶

翌朝、カラフルプロダクションに響く元気な声。


「こんにちわんだふるー!」


ベロスの挨拶と共に、今日という新しい一日が始まる。彼女の持つ犬のような優れた嗅覚は、ただ匂いを嗅ぎ分けるだけではない。人の心の状態まで感じ取ることができるのだ。


今朝もいつものように事務所を回りながら、ベロスは仲間たちの様子を確認していく。


「レトリバー金ちゃーん!」


地下実験室の扉を開けると、徹夜明けらしい金が実験台に突っ伏していた。


「むにゃ…ベロス?おはよう…」


「あー、また徹夜しちゃったんだね。お疲れ様!」


ベロスは慣れた様子で、金にコーヒーを差し出す。


「ありがと。昨日のシルBOWの暴走の原因を調べてたんだ」


「シルBOWちゃん、大丈夫?」


「爆発こそが私の美学です」


振り返ると、シルBOWが無表情でそう答えた。彼の周りには、まだ煙が立ち上っている。


「あはは、シルBOWちゃんも元気そうだね!」


ベロスは屈託なく笑う。彼女にとって、仲間が元気でいることこそが何よりも大切なのだ。


次に向かったのは、ヌシPの部屋。ドアを開けると、案の定また全裸で回転している。


「ヌシPー!おはよー!」


「おお、ベロス殿!アタクシの美的回転をご覧ください!」


「うん、とっても綺麗に回ってるよー!でも服着よう?」


「美に服は必要ありません!」


「でもお姉ちゃんが心配してるよ?」


ヌシPの回転が止まる。


「…グレーケル殿が?」


「うん!昨日も胃薬飲んでたよ」


「それは…申し訳ございません」


ヌシPは珍しく反省した様子で服を着始める。ベロスの純粋な言葉には、不思議と人の心を動かす力があった。


最後にグレーケルのオフィスを訪れると、彼女は既に仕事を始めていた。


「お姉ちゃん、おはよー!」


「おはよう、ベロス。今日も早いのね」


「うん!みんなが元気だったよ!ヌシPも服着てくれたし、レトリバー金ちゃんも実験頑張ってる!」


グレーケルの表情が和らぐ。ベロスの報告を聞いていると、山積みの書類も少し軽く感じられる。


「そう、よかったわ。ありがとう、ベロス」


「えへへ、どういたしまして!」


その時、外から子供の泣き声が聞こえてきた。ベロスの耳がぴくりと動く。


「あ、誰か困ってる?」


窓の外を見ると、小さな女の子が迷子になって泣いている。


「お姉ちゃん、ちょっと行ってくるね!」


「ベロス、危なくないようにね」


ベロスは事務所を飛び出すと、泣いている女の子の元へ駆け寄った。


「どうしたのー?」


「おかあさんが…いない…」


「大丈夫だよー!一緒に探そう!」


ベロスは女の子の手を取ると、持ち前の嗅覚を活かして母親を探し始める。しばらくすると、心配そうに探し回っている女性を発見した。


「おかあさーん!」


「あ、ありがとうございます!」


母親は涙を流しながらベロスにお礼を言う。


「どういたしまして!みんなが笑顔でいるのが一番だよー!」


事務所に戻ったベロスを、仲間たちが温かい目で迎える。


「今日もお疲れ様、ベロス」


「お姉ちゃん、私ね、みんなが笑顔でいるのを見るのが一番好きなんだ!」


「そうね。その気持ちがあるから、みんなベロスを慕っているのよ」


ベロスの存在は、カラフルプロダクションの太陽のようだった。彼女がいるだけで、どんなトラブルも笑顔に変わっていく。


今日もまた、事務所に明るい笑い声が響いている。

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