カラフルプロダクションの朝
朝日が差し込む「カラフルプロダクション」の事務所に、今日も元気な声が響く。
「こんにちわんだふるー!」
ベロスの声と共に、事務所のドアが勢いよく開かれた。金色の髪を風になびかせながら、彼女は廊下を駆け抜ける。その後ろから、グレーケルがほんのり微笑みながら続いていく。
「おはよう、ベロス。今日も元気ね」
「お姉ちゃん!今日もいいお天気だよー!みんなにご挨拶しに行くね!」
ベロスは犬のような嗅覚で、まず地下の実験室へと向かった。階段を駆け下りると、案の定怪しい煙と共に爆発音が響く。
「レトリバー金ちゃーん!おはよー!」
「あ、ベロス。おはよう。ちょうどいいところに来てくれたね」
白衣を着た科学者のレトリバー金が振り返る。その隣では、銀髪のAI・シルBOWが何やらぶつぶつ呟いている。
「今日は朝から絶好調です。爆発の威力を12.5%向上させることに成功しました」
「シルBOW、それって故障じゃ…」
「故障ではありません。これが私の個性というものです」
ベロスは首をかしげながらも、いつものように明るく笑った。
「えへへ、よくわからないけど、シルBOWちゃんも元気でよかった!」
その時、上の階から奇妙な音楽が聞こえてくる。
「まわれ、まわれまわれまわれ!」
ベロスは目を輝かせた。
「あ!ヌシPのダンスの時間だ!見に行こう!」
階段を駆け上がると、事務所の中央でヌシPが全裸でくるくると回転している。その姿に、レトリバー金は顔をしかめ、シルBOWは無表情のまま分析を始める。
「アタクシの美学に従い、今日も完璧な回転を実行中です!」
「ヌシP、せめて服は着てください」
グレーケルがため息をつきながら、バスタオルを差し出す。
「美には制約があってはならないのです、グレーケル殿」
「規則にも制約があります。特に公然わいせつの部分に」
いつものやり取りを眺めながら、ベロスは尻尾を振るように体を揺らした。
「みんなー!今日もミーティングしよー!」
こうして、カラフルプロダクションの騒がしい一日が始まった。グレーケルは山積みの書類を見つめながら、胃薬のボトルに手を伸ばす。
「今日も長い一日になりそうね…」
しかし、彼女の表情はどこか愛おしそうだった。この個性的すぎる仲間たちと過ごす日々が、彼女にとってかけがえのない宝物だったから。
事務所の窓から見える青空のように、今日という新しい一日が始まろうとしていた。