第二十五章29 【アンサー・クリエイト/アンサー・クリエイト2】29/第02班/【第2覇王/セカンド・オーバーロード神殿】の招待14
最後は、【ファティナ】だ。
彼女が選択したのは、【物語】のキャラクターになりきりたいと言う【夢】である。
彼女はフィクションが現実化した存在である。
フィクションのキャラクターには本能のようなものが共通して1つだけ存在する。
それは、【物語の役を全うする】と言う事である。
それは大活躍する【主人公】も、
【主人公】を補佐する【仲間】も、
【主人公】の家族も、
どんな【ヒロイン】も、
残虐の限りを尽くす【悪役】も、
【主人公】に立ちふさがる【ラスボス】も、
【主人公】を導く、【師匠】も、
【主人公】を助ける【恩人】も、
【主人公】とほぼ関係ない【モブ】も、
全て、その【物語】の形を為す【パーツ】となっている。
だから、【ファティナ】は、【芳一】のライフワーク作品である【フィクション・レジェンド】のメインヒロイン【カノン・アナリーゼ・メロディー第七王女】風の姿をした以上は、【フィクション・レジェンド】の【カノン】が行動したものをなぞりたいと言う本能があった。
もちろん、ここは、【芳一】では無く、【和衣】が作った世界であるため、【フィクション・レジェンド】そのものの再現は不可能である。
だが、【フィクション・レジェンド】と似た【世界】は【夢】として展開出来るのである。
また、【フィクション・レジェンド】全体と似た物語は難しいが、【ファティナ】は【カノン】風の姿を選択したので、【カノン】の冒険の部分に似ている【冒険】を展開させれば良いのである。
【フィクション・レジェンド】では、【ラスボス】/【クスンタティーア】との決戦の前に、主人公の【芦柄 銀侍】と合流するが、その前には【カノン】は自分を守りたいと思う仲間と共に【水の星】を冒険している。
そこでの冒険は【交渉】の冒険だった。
仲間は話の通じない者も居るから危険だと忠告するが、【カノン】は聞かず、交渉をメインに冒険をしていた。
その中には、揉めている吸血鬼と町の人間の間の仲裁、
逃げ回る者との謁見、
など、【カノン】独自の展開が表現されている。
見所としては、この2つが挙げられるだろう。
吸血鬼と町の人間との交渉では、吸血鬼に新たな食材を提供することで解決、
逃げ回る者との謁見では盲点をついている逃げ回る者を上手く捕まえて見せている。
【ファティナ】はそれに近い【物語】を追体験する事になったのだった。
【ファティナ】は、
『ごめんね・・・
助けられなくて・・・
ごめんね・・・
助けたかった・・・
でも出来なかった・・・
私の力不足・・・
ごめんね・・・』
と言った泣きの展開にもちゃんと役になりきり演じたのだった。




