最終話 踏み台となる覚悟
ヒルトハイムは、戦争に負けた。戦争中に10万人の大量虐殺を行った。それはこの世界の歴史の中で最も忌まわしい事件の一つになった。
今、俺は牢の中にいる。戦争裁判はまだ続いている。毎日、法廷に引きずり出され、繰り返し尋問を受ける日々が続く。この裁判がいつ終わるのか、誰にも分からない。だが一つだけ確かなことがある。この裁判が終わった時、俺は死刑になるということだ。俺はこの戦争の主犯格として、すべての罪を背負い、そして死ぬだろう。ヒルトハイムで起きた大量虐殺も、その原因はすべて俺になる。
しかし、それで良い。むしろ、俺がそれを望んでいる。全ての罪を背負うことに、俺は何のためらいもない。俺が悪者になれば良いのだ。ヒルトハイムの未来のためには、誰かが悪役を引き受けなければならない。そして、その役割を果たすのは俺だ。俺がこの罪をすべて負い、歴史に残る悪者になることで、ヒルトハイムは新たなスタートを切ることができる。
俺の目の前に広がる未来は、もうない。だが、ヒルトハイムには未来がある。そしてエルダンシアにも。俺が整備した近代的な教育制度のおかげで、この国々には優秀な人材が育っている。彼らはこれからの国を支えるだろう。ヒルトハイムも、エルダンシアも、これからもっと良い国になるはずだ。俺はそのために、喜んで二つの国の踏み台になろう。
政治家とは、そういう存在であるべきだ。自分自身の栄誉や利益のために国を動かすのではなく、国民の未来のために、自らを犠牲にする覚悟を持つべきだ。それが、俺が長年信じてきた信条だ。
俺はこの世界で夢を叶えた。政治家になるという夢を。
例えこの命が消え去ろうとも、俺がやったことには意味がある。ヒルトハイムとエルダンシアが、この先より良い国へと変わるならば、それで良い。
薄暗い牢獄の中、俺は冷たい床に座りながら静かに考えた。俺の死によって、彼らに明るい未来が開けるのであれば、それ以上の幸せはない。
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