第87話 支配のために
マルセル軍を打ち破った直後、俺は荒れ果てた戦場を背にして、次なる行動を考えていた。戦いに勝っただけでは終わらない。反乱を起こした王やマルセル、そして彼らに手を貸した貴族やエルフの商人たち――すべての連中に対する処遇を、冷静に決めなければならない。
「全員、辺境都市へ送れ」
そう、命じた。王やマルセルに加え、彼らに協力した全ての者たち。名声も権力も金も、何もかも剥ぎ取ってやった。そして彼らには、辺境都市で農作業をさせることにした。身分など関係ない。貴族であろうが、王であろうが、マルセルであろうが、関係ない。全員が同じ地に立ち、同じ泥に手を突っ込むのだ。
これで終わりじゃない。反乱はまだ起こり得る。そう考えた俺は『総統の目』を使い、国内の監視を強化することにした。彼らは国内のあらゆる場所に配置され、国民の動向を監視する。俺の政治に反対する者、現在の体制に不満を抱く者たちも、同様に厳しく処罰した。時には全財産を没収し、辺境都市へ送り農作業を強いることもあった。
言論の自由を制限することには、少しばかりの抵抗があった。だが、この国はまだ未熟だ。民主主義を根付かせるには時間がかかる。今はその準備期間にすぎない。そして、魔王との戦いが一年半後に迫っているという現実もある。そんな余裕のない状況で、国内の分裂を許すわけにはいかなかった。
この国には、回り道をしている時間はなかった。
魔王との戦いに備え、俺は最短のルートを選ぶしかなかった。不穏分子は早めに排除し、この国を再建しなければならない。その覚悟はできていた。もはや慈悲をかける余裕など、この俺にはない。
全ては、この国を守るためだった。
その結果、俺の施策は表向きにはうまくいった。減税策や公共事業の増加により、失業率は劇的に低下した。ヒルトハイムの経済は徐々に回復し、人々の生活も向上していった。総統の目による取り締まりの強化で、治安もかつてないほどに安定した。
国が安定し始めると、俺は次のステップに進むことを決めた。将来的な発展を見据え、教育に力を入れることにしたのだ。それまで学校は貴族や一部の裕福な商人の子供しか通えなかった。しかし、そんな時代は終わった。俺は身分に関係なく、すべての子供たちが教育を受けられるように学校を整備し直した。農民の子供も、商人の子供も、等しく学びの場を得る。それこそが、国を強くする最も重要な土台だと信じていたからだ。
「教育こそが、この国の未来を創る」
俺の持論だ。国民は自らの手で新しい国を築いていく義務がある。そのためには、国民に知識がひつようだ。知識こそが、未来を創る力なのだ。




