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異世界で俺が史上最悪の独裁者になるまで 〜転生先は貧弱な田舎貴族。しかし肉体強化魔法と転生前の知識で成り上がる波瀾万丈の物語〜  作者: 蒼一朗


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第81話 総統の初仕事

 国民投票が無事に可決され、俺は正式にヒルトハイムの全政治権力を握ることになった。自らの役職は「総統」とした。自分にその称号を与えたのは、国の運命を背負う覚悟を持つためだ。この国を変えるために、まずは俺が全てを掌握する。独裁政治というやつだ。それが、総統という言葉に込められた意味だ。


 もちろん、独裁政治というのは、あまり好ましいものではない。だがこの国は政治的に未熟だ。しかも魔王軍の脅威もあるため、ゆっくりと政治的な成長をする時間は無い。だから俺が一時的に全権を握り、急速に改革を推し進める必要があった。


 だが、俺が総統になったからといって、すぐに物事が円滑に進むわけではない。最初に片付けなければならない問題が山積していた。その最たるものが、王とマルセル一派の存在だ。彼らは、この国の旧体制の象徴であり、俺が進めようとしている改革に真っ向から反対する存在でもある。王は自らの権威に固執し、マルセルは影で陰謀を巡らせる。どちらも、俺の前に立ちはだかる巨大な壁だった。


 だからこそ、俺はまず彼らを排除する必要があった。物理的に。だから王とマルセル一派を王都から追放し、辺境の地方都市へ幽閉した。公式の名目は「病気療養のため」だ。王が突然体調を崩してしまったので、健康を取り戻すために静かな環境で過ごす。ということにした。もちろん、それはあくまで建前。実際には、俺の計画を邪魔する彼らを遠ざけるためだ。彼らには静かに消えてもらう必要があったからな。


 しかしながら、俺は彼らを殺すことはしなかった。なぜなら、彼らを殺すこと、特に王を殺すことは、国民感情を逆撫でする危険があったからだ。この国の人々は、王族の血を神聖視している。特に年配者にその傾向が強い。王族が無惨に殺されるようなことがあれば、伝統を重んじる一部の国民の怒りが俺に向かう可能性があった。俺がどれだけ国民の支持を得ているとはいえ、そのような事態は避けなければならない。だから、幽閉という形を選んだ。


 マルセルに関しても同じだ。彼には多くの支持者が潜んでいる可能性がある。マルセルの支持者たちは、表立っては何も言わないが、彼を信奉し、彼の恩恵を受けている者が少なくないと想われた。もしマルセルを殺してしまえば、そういった連中が俺を逆恨みし、暗殺を企てるかもしれない。俺は無駄な敵を作るつもりはない。だから、マルセルもまた幽閉するにとどめたのだ。


 彼らが王都を去る時、その顔には明らかな不満がにじみ出ていた。王もマルセルも、屈辱を噛みしめながら黙って馬車に乗り込んでいたよ。そして奴らが幽閉先で何かコソコソと企んでいるという噂は、この頃から耳にしていた。それでも気にしている余裕は無かった。俺の視界にいないのなら、どうでもいいと思っていたんだ。なぜなら、俺にはもっと大事なことがあるから。


 俺の目の前には、ヒルトハイムの改革という巨大な課題が横たわっていた。これを成し遂げなければ、この国は滅びる運命にある。だから、邪魔者を排除した今こそが本当の勝負だ。王とマルセルを追放しただけでは、この国は何も変わらない。むしろ、これからが始まりだ。俺が総統として、ヒルトハイムをどう導くか。それがこの国の未来を左右する。ヒルトハイムの未来は、俺の手の中にある。

 俺は総統として、この国を再び立ち上がらせるための準備を進めた。


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