第78話 思わぬ逆転劇
会議二日目の朝、俺は心の奥底で最悪の展開を予感していた。このまま進めば、停戦協定は破棄され、俺は処刑台へ送られるだろう。俺が築き上げた功績など、あっという間に吹き飛ばされてしまう。
「逃げ出すしかないか…」
そんな弱気な考えを巡らせながら、会議場に足を踏み入れる。冷ややかな視線が、各国の王や代表者たちから突き刺さる。俺は内心、舌打ちしながら、そろそろ始まるだろう処刑宣告に備えていた。
だが、会議が始まるや否や、状況は予想もしなかった展開を迎えた。
「私は停戦協定を支持しよう」
ハイエルフ王が、静かに微笑みながら、しかし断固とした口調で言葉を放った。
その言葉に、会場全体が凍りついた。俺も一瞬、耳を疑ったよ。各国の王たちも困惑の表情を見せた。もちろん、ヒルトハイム王もマルセルも、何が起きたのか理解できていないようだった。
誰も状況がつかめなかったが、誰一人として即座に声を上げる者はいない。言葉を失った王たちが、無言で視線を交わし合うだけだった。特にヒルトハイム王は、明らかに面食らっている様子だった。
後から分かったことだが、昨日の夜、ロシェがハイエルフ王に直接進言していたらしい。彼は俺のやり方に強く共感し、停戦協定の支持を求めたのだという。ロシェはただのハイエルフ王のおつきではなかった。その関係は、まるで戦国時代の織田信長と森蘭丸のように特別なものだった。そう、彼の言うことなら、ハイエルフ王は無視できない。
そして、彼は天才発明家でもある。魔法銃や魔弾、さらには飛空艇までも手掛けた彼の技術と知識は世界中に知れ渡っている。王を除けば、世界でも有数の実力者だ。そんな彼が、俺を支持してくれた。これ以上の援護があるだろうか?
ともかく、ハイエルフ王の支持を得たことで、俺に対して異議を唱える者はいなくなった。彼の一言で、会議の流れは完全に変わった。各国の王たちがいくら反対しようとも、彼らはロシェとハイエルフ王に逆らうことはできなかった。
「今後、ヒルトハイムはレオンの考える政策で政治を進めるように。そして、各国ともヒルトハイムに協力することを期待する」
王たちは誰も反論しない。ただ、口を閉ざし、無言で頷くしかなかった。そして、最後にハイエルフ王は、俺たちに向かって、とんでもないことを言った。
「レオン、君には政治の才能があるようだ。いっそのこと、君がヒルトハイムの王になってみてはどうだ?」
その言葉に、ヒルトハイム王とマルセルは驚愕していた。彼らの顔には、信じられないという表情が浮かんでいた。もちろん、俺自身も呆然としていた。
こうして、会議は劇的に終わりを迎えた。そして、この決定により、俺の運命は大きく動き出すことになる。




