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異世界で俺が史上最悪の独裁者になるまで 〜転生先は貧弱な田舎貴族。しかし肉体強化魔法と転生前の知識で成り上がる波瀾万丈の物語〜  作者: 蒼一朗


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第69話 交渉の名を借りた罠

 マルセルが国王に停戦を提案すると、あの無能な国王はあっさりとそれを受け入れた。


 国王は、もともと俺のことを嫌っていた。そんなところに、マルセルが「停戦交渉の名を借りてレオンを始末しよう」という案を持ち込んだんだ。あの愚かな王が喜んで飛びついたのは、火を見るより明らかだった。


 俺が魔王軍と停戦交渉を行うことは、すぐに大々的に発表された。そして、その発表を行ったのは皮肉にも俺自身だった。広報担当としての役割を、最後の最後まで忠実に果たすことになったわけだ。だが、発表する内容は、すべてマルセルの手によって書かれたものだった。


「長く続く戦争に終止符を打つため、魔王軍相手に停戦交渉を行う。交渉を担当するのは、国王補佐官であるレオン。交渉は武器を持たずにレオン単身で行う。あえて単身で行うことにより、魔王軍に対して誠意と覚悟を示す。武器を持たないことで、平和的な意図を強調している」


 この発表が行われたとき、国民の反応は複雑だった。喜びと不安が入り混じった表情が、多くの顔に浮かんでいた。もし停戦が実現すれば、戦争が終わり、長い間苦しめられてきた国民たちはやっと平和を手に入れることができる。だが、それが本当に実現できるのか、誰も確信していなかった。しかも、武器を持たずに単身で魔王軍と向き合うというのは、あまりにも危険すぎる。


「レオン様が魔王軍に殺されるんじゃないか…」


 そんな声も、ちらほらと聞こえた。もちろん停戦交渉に失敗すれば、俺は確実に死ぬ。これこそ、火を見るより明らかなことだった。


 だが、一方で国王やマルセル、彼らの取り巻きたちは、そんな国民の反応に、ほくそ笑んでいた。

 俺が交渉に向かい、もし失敗して魔王軍に殺されれば、国民の間で魔王軍に対する負の感情が急激に高まるだろう。国民の希望であった俺が命を落とすことで、彼らは復讐心に駆られる。そして、その時こそ戦争を止める声は完全に消え去り、全員が戦争を支持するようになるというわけだ。


 俺は、国民のために戦争を終わらせたいと思っているが、マルセルや国王たちは俺を利用して、戦争をさらに激化させようとしている。


 だが、俺は決してこの罠に屈しない。魔王軍との停戦交渉に向かい、なんとしてでも結果を残す。

 俺はこれまで何度も死線を越えてきた。今回も、その例外ではない。ただ、今回は国民の命運も背負っている。戦いはまだ終わっていない。むしろ、これからが本番だ。

 俺は静かに、だが確固たる決意を胸に、城の石畳を踏みしめた。


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