第55話 ゴーレムとリリィの力
今回の復興にかかる予算不足問題は、結局のところ文官たちの手で解決された。さすが真面目なハーフリングの文官たち。俺にはできない手腕だ。予算は彼らの力でひねり出してもらうしかなかった。
文官たちには、復興作業の予算に加えて、保安兵たちへの恩賞も追加で要求した。彼らが一ノ町を奪還するのにどれほどの力を尽くしたかは、俺が誰よりもよく知っている。それに、この先の復興作業でも彼らのマンパワーが必要不可欠だ。彼らの士気を高めるためにも、相応の報酬を与えることが重要だ。
さて、復興が始まってからのことだ。最初は予算の問題でつまずいたが、それ以降は予想以上に順調に進んだ。かかった期間は約一年。俺が最初に見積もっていたよりも早い。理由は大きく2つ。1つ目は、真面目なハーフリングが、俺の復興計画どおりに着実に復興をすすめたから。そして2つ目は、力仕事にゴーレムが使えたからだ。この世界のゴーレムは、力仕事にはうってつけの存在だった。
ゴーレムは事前に与えられた命令しか遂行できない。だが、同じ作業を何度も繰り返すような仕事は得意だ。例えば、線路を引き直す作業や、瓦礫を運ぶ作業なんてものは、彼らの専売特許だ。
そして作業をさせるには、その都度、詳細な指示を魔法で与えなければならない。魔法を使ったプログラミングみたいなものだ。これが非常に面倒くさい。指示内容を少しでも間違えると、ゴーレムは動かないか、全く別の動きをしてしまう。よほど魔力が豊富で、かつゴーレム魔法に精通した者でないとできない。
そんな中、俺たちの救世主となったのがリリィだ。リリィはこの国でも屈指の魔法使いであり魔導具技師だ。リリィはその魔力と知識で、ゴーレムを自在に操り、複雑な復興作業を指示してくれた。彼女がいなければ、俺たちの復興はこんなに早く進まなかっただろう。リリィとゴーレムのおかげで、一ノ町はフェンリルの襲撃前よりも立派に仕上がった。
街中を歩いてみれば、レンガ造りの家々は新しく建て直され、石畳の道路はより整備されていた。上下水道も完全に復旧し、ゴーレム列車の線路も元どおりに戻った。だが、今回の復興で最も注力したのは城壁だった。以前の城壁よりも高く、そして堅牢なものに作り直した。もう二度とフェンリルの侵入を許すことはないだろう。
復興の過程で、リリィがゴーレムを使いこなす姿を何度も目にした。彼女は黙々と作業に集中し、細かい指示を次々とゴーレムに伝えていった。俺にはできないことだ。リリィは本当に頼りになる存在だと改めて感じた。
「リリィのおかげでここまでこれたな」
そう呟きながら、俺はリリィの方を見た。彼女は汗を拭いながら、誇らしげにゴーレムたちを見つめていた。あの小さな体でここまでの大仕事を成し遂げたのだから、彼女も自分の手柄に満足しているのだろう。




