第49話 軍事指導特別長官の仕事
フェンリルの襲撃から数日が過ぎた。しかし、エルダンシアにはまだその傷跡が深く残っている。
襲撃の際に負傷したハーフリングたちが多く、病院は既に限界を超えていた。医療体制はパンク状態で、治療を受けられないまま待機している者も少なくない。また、無事に避難してきた者たちも住む場所が足りていない。知人や親戚の家に身を寄せることができる者は幸運だが、行き場を失った者たちは公園で野宿を強いられている。
一ノ町と二ノ町をつなぐ城門はフェンリルの襲撃以来、堅く閉ざされたままだ。あちら側がどうなっているかはまったくわからないが、できるだけ早く一ノ町を取り戻さなければならない。
正直に言えば、俺が武器を持っていれば、何頭フェンリルがいたとしても簡単に追い返せるはずだった。しかし、それは叶わなかった。ハーフリングの文官たちが俺から取り上げた武器を返してくれないのだ。その理由は、規則で決まっているからだという。非常事態にあっても規則を破る前例を作りたくないらしい。
役人たちのこうした理屈は、どの世界でも似たようなものだ。俺の武器を返してもらうのは難しいだろう。
そうはいっても、俺がここで何もせずに待つわけにはいかない。だからこそ、俺は自分に与えられたもう一つの役目に目を向けることにした。現在、エルダンシアは非常事態に直面している。だからこそ、軍事指導特別長官として、俺はハーフリングの保安兵たちを鍛え、指導し、彼らを強化する必要がある。俺が直接戦えないならば、彼らを戦える力に変えてやる。ハーフリング自身の手で一ノ町をフェンリルから奪還させるのが、俺の任務だ。
早速、保安兵たちの訓練に着手することにした。この非常事態において、俺ができる最善の選択肢はそれだった。




