第45話 フェンリル撃退?
エルダンシアの端っこまで足を運んでいた俺は、城壁の下に魔物を見つけた。フェンリルだ。大きな狼のような魔物で、その毛並みは白と銀が混ざり合い、微かに光を反射している。一匹だけならどうということは無いが、何匹も集まっていると少し面倒な存在だ。
どうしたものかと考えていると、俺は少し離れた場所にいた見張り番に気づく。その見張り番は、子供のような見た目をしているが、ハーフリングだから大人なのだろう。そんな見た目のハーフリングが、すぐに魔法銃を取り出し、フェンリルに向かって威嚇射撃を放った。すると、フェンリルたちは即座に逃げ出した。見張り番はそれに慣れた様子で、さらっと説明してくれた。
どうやら、最近はちょこちょこ魔物が現れるらしい。しかし、この堅固な城壁を登ってくる魔物は一度もいないし、威嚇射撃で逃げることがほとんどだという。
「そんなもんか…」
俺は独り言を呟きながら、その場に立ち止まり、しばらく見張り番と世間話を続けていた。
話をしているうちに、驚くべき事実が分かった。見張り番は、見た目こそ少年のようだが、本当に少年のハーフリングだったという。
「子供でもできる仕事だからね」
と彼は軽く言う。エルダンシアでは、見張り番に限らず、子供でもできる仕事はすべて子供にやらせているらしい。合理的なハーフリングらしいといえばそうなのだが、それにしても…。俺はしばらくそのことについて考え込んでしまった。
見張り番に別れを告げ、俺は城壁を後にした。そして、山頂にある俺の宿舎へ向かった。帰り道はゴーレム列車に乗ることにした。この国では、鉄道を使って町から町へ移動することができるのだが、その列車を引くのはゴーレムだ。石でできた巨人が線路の上を力強く走り抜ける。線路の上を走るため、馬車に比べて揺れも少なく非常に快適だ。俺はその快適さに身を任せ、窓から外の景色を眺めた。
その日の発見としては、エルダンシアに整備されている設備が実は、それほど新しいものではないということだ。城壁も、ゴーレムも、鉄道や上下水道も、どれも見事なものだが、そのすべてがどこか古めかしい。特に城壁に関しては、魔物の襲撃や魔法銃の跳弾による影響が出ているせいか、かなり劣化が進んでいるように感じた。もちろん、今日明日にでも崩れるということはないだろうが、修繕をしようとすれば、かなりの金額がかかるだろうから後回しになっているのだろう。
どこの世界でも、インフラ施設は耐用年数を過ぎても、そのまま使われ続けるものみたいだ。俺はゴーレム列車の揺れに身を委ねながら、そんな普遍的な現実に少し苦笑いした。
「エルダンシアも、どこかの国と同じか…」
そう思いながら、俺は次第に眼前の景色に意識を沈めていった。




