表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で俺が史上最悪の独裁者になるまで 〜転生先は貧弱な田舎貴族。しかし肉体強化魔法と転生前の知識で成り上がる波瀾万丈の物語〜  作者: 蒼一朗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/99

第29話 王子のわがまま

 王子が戦場に行きたいと言い出した。理由は『俺が兄の誘いを断って戦場に行かなかったから、その代わりに自分が行く』ということだった。いま聞いても意味不明な理由だ。その話を聞いた時、俺はただの一瞬、周りの空気が凍ったような気がした。


 まず、王子は十歳だ。十歳だぞ。戦場で何ができる? 武器を握ることもできないだろうし、戦場で何ができるわけでもない。むしろ足手まといだ。それに当たり前の話だが、王子は王族だ。そして現王のただ1人の跡継ぎだ。絶対に殺してはいけない。そんな誰よりも弱くて誰よりも命が重いやつを戦場に行かせるわけにはいかない。

 しかし、王子の家来たち、特に彼の取り巻きは、すべてイエスマンだ。王子が何かを言えば、何も考えずに「はい、陛下」と言うだけ。誰も止めようとしない。そんな連中も「王子を戦場に」だなんて言い出した。つまり、そういうことだ。


 しかし兄から俺への手紙の内容が、なぜ王子の耳に入ったのか。おそらく、俺の行動が監視されていたんだろう。こっそりと俺の言動を王族や高官に報告する者がいたんだ。まあ今となっては、真相を確かめる手段はないが。


 ヴォルフガングもこの事態を重く見た。彼はすぐに王の元に赴き、王子を戦場に行かせないよう懇願した。しかし、王はあっさりとこう言ったそうだ。


「今回の戦地は王都から遠くないし、ミュラー軍の戦場なら負けることはない。危険は少ない。それにレオンが護衛についているなら問題ないだろう」


 王の脳内はお花畑なのだろうか。


 その言葉を聞いた瞬間、俺の心に苛立ちが湧いた。俺が護衛すれば大丈夫だと?冗談じゃない。これまで一度も護衛なんてしたことがない。そんな俺に、王子の命を預けるだと?しかも、戦場で?根拠のない楽観論がどれほど命取りになるか、王は分かっていない。

 とはいえ、王の言葉は絶対だ。俺の意見など、聞く耳を持たれることはなかった。結局、王子を戦場に連れて行くことが決まった。


 ヴォルフガングを含む近衛兵団から25人。そして、俺を含めた元ミュラー兵から5人。この護衛部隊で、俺たちは王子を連れて戦地に赴くことになった。

 これまでの戦場でも、いくつもの危険をくぐり抜けてきたが、今回ほど嫌な予感がする戦いはなかった。王子を守るために、俺たちはどんな犠牲を払うことになるのか。俺は静かに覚悟を決めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ