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異世界で俺が史上最悪の独裁者になるまで 〜転生先は貧弱な田舎貴族。しかし肉体強化魔法と転生前の知識で成り上がる波瀾万丈の物語〜  作者: 蒼一朗


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第22話 ミュラー兵の活躍と疑惑

 兄と俺はそれぞれの道を歩むと誓った。兄は武官として、俺は文官として。そうして、ミュラー家を共に盛り立てようと。それからというもの、兄は剣を磨き、戦場での活躍を重ねた。俺はというと…そもそも文官になる方法さえ分からず、途方に暮れていた。


 この国の文官のトップはマルセル。彼に追いつき追い越すことを目標に掲げてみたものの、どうやってその高みへと上るか見当もつかない。兄に聞いても、文官のことは分からないと言う。レオンの過去の記憶をたどってみても、良い答えはみつからない。


 その間にも、剣道…いや、ミュラー流剣術を学ぶ兵士たちは、どんどん成長していた。俺が兵士たちに教えた技術は、驚くほどの成果をもたらした。いつの間にか兵士たちのほとんどが肉体強化魔法を使えるようになっていたのだ。剣と一体となり、人間離れした速さで敵を蹴散らす彼ら。剣道の訓練が、こんなにも短期間で肉体強化魔法の使い手を生み出すとは、想像していなかった。


 ミュラー兵団は、どの戦場でも連戦連勝。魔王軍を追い返す度に、その名声は高まり、王国中で『無敵の兵団』とまで呼ばれるようになった。そのたびに、国王からは恩賞が与えられた。しかし、なぜか兄の階級は上がらない。どうしてだ? ミュラー兵団の戦果を見れば、兄がどれだけ活躍しているか一目瞭然のはずだ。それなのに、貴族としての階級が一向に昇進しない。国王からの恩賞こそ増えたが、肝心の地位は据え置かれたままだった。


 ある日、兄から聞いた話で状況が少しだけ見えてきた。どうやら、国の上層部の中に、地方貴族であるミュラー家が急速に力をつけたことに対して、警戒している者たちがいるらしい。俺たちが急激に力をつけることに、何か不安を抱いている者がいるのだ。通常、地方の貴族がここまでの力を持つことはありえない。ましてや、それが戦場であまりにも人間離れした力を発揮しているとなれば、なおさらだ。

 仕方がないことだろう。ミュラー兵団の戦い方は、確かに常人のそれを超えている。兵士たちは、まるで上級魔族が使う肉体強化魔法を使っているかのような戦い方をする。


「怪しまれて当然か…」と俺は内心、苦笑いを浮かべた。

 それでも、戦果を上げ続けていくと、ついに国から命令が下った。


「ミュラー家の強さの秘密を、王の前で説明しろ。」


 国王の前で、あの力の秘密を明かさなければならない。そして、それがどれだけ危険なことか、俺にはよくわかっていた。下手な説明をすれば、ミュラー家は魔族とつながっていると見なされる。かといって俺が転生者であり、転生前に身につけた剣道を兵士に教えたところ、みな肉体強化魔法が使えるようになった。などという話を信じて貰えるはずがない。


 どうしたものか。逃げられる状況ではない。もはや後戻りは許されない。


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