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異世界で俺が史上最悪の独裁者になるまで 〜転生先は貧弱な田舎貴族。しかし肉体強化魔法と転生前の知識で成り上がる波瀾万丈の物語〜  作者: 蒼一朗


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第19話 剣道と肉体強化魔法

 兄に剣道を教えることになった俺。案の定、兄はすぐに覚えた。もともと実践的な剣術を我流でやっていたこともあって、最初から力強く、しなやかな動きができていた。もちろんそれだけではない。やはり、兄には剣術の才能があった。俺は感心しながらも、少しだけ嫉妬していた。


 そして、驚くべきことに、兄は俺が剣道を教え始めてから一ヶ月も経たないうちに『肉体強化魔法』を使えるようになった。兄も剣道をやる中で『気剣体の一致』を感じたらしい。その『気剣体の一致』を完成させ、前に一歩踏み出した瞬間、大きな力の流れが体に入ってくるのを感じたという。そしてその力を体内でコントロールし、完全に我が物にすることで、肉体強化魔法を使えるようになった。


 俺は別に特別なことを教えたわけではない。基本的な四つのポイントを兄に伝えただけだ。まず一つ目、剣は両手で構えること。両手を使って握ることで、剣の振りが力強くなり、体の正中線を意識しやすくなる。二つ目、その時に腹の下に力がたまるのを意識すること。いわゆる『丹田』の意識。三つ目、剣を振るときは、剣も腕の延長として捉え、前に進みながら振ること。無駄な力を入れず、自然に剣と一体化する感覚を持つことが大事だ。そして四つ目、前に進む際は足で大地を強く蹴り、その反発力を使って前進するイメージを持つこと。地面を踏みしめ、その力を体全体に伝える。この四つの基本を繰り返し教え込んだ。


 兄はこの教え方に大いに驚いていた。特に、剣技や魔法において『イメージ』が重要であることを強調したときの兄の表情は忘れられない。


 この世界でのオーソドックスな魔法の考え方は『支配』だ。例えば炎の魔法を使えるようになるには、炎を理解し支配できるようにならなければならない。つまり、炎の性質を研究し、その知識をもとに魔力を使って炎をコントロールする。それによって、炎の魔法を使えるようになったと言える。このため、魔法をマスターするには長い時間がかかるのが普通だ。


 しかし、俺の肉体強化魔法には『支配』は必要なかった。理屈よりも感覚が重要だったからだ。気を高め、剣と体を一体化させる。その瞬間に肉体強化魔法が自然と発動するというのは、既存の魔法理論では考えられない異質の存在だ。


 俺は兄の成長を見て、ふとある考えが浮かんだ。


(もし、俺がこの剣技をミュラー家の兵士全員に教えたらどうなるだろうか…?)


 俺はこの肉体強化魔法に対して、新しい可能性を感じ始めていた。剣道という技術をミュラー家の兵士に教え、全員が肉体強化魔法を使えるようになれば、この国最強の軍団を作り上げることができるのではないか。そう考えたとき、俺の胸は興奮でいっぱいになった。自分がこの世界に転生して得た魔法が、国を動かす力になり得るかもしれないと考えた。


 そして、その考えは現実となる。


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