第13話 王への報告
キルンの砦の防衛戦は俺たちの勝利に終わった。だがその余韻に浸る間もなく、俺は兄ルイスとともに王都へ向かうことになった。戦果を王へ報告するためだ。本来であれば、指揮官である兄のルイスが1人で行うべきもの。しかし今回は俺も同行することになった。理由は明白。俺が最も戦場で活躍したから。兄は、これからのためにも良い経験になるだろうと俺を同行させてくれた。
王都に足を踏み入れたのも、この時が初めて。レオンの過去の記憶にも無かった。石畳の道が広がり、都の中央に豪華な城がそびえ立つ。城の中へと案内された俺たちは、まるで迷路のように複雑な通路を通り抜け、謁見の間にたどり着いた。そこにあったのは広くて豪華な謁見の間。いや、豪華というより、悪趣味と言う方が正しい。金箔が散りばめられた柱、絵画で彩られた壁、無駄に大きいシャンデリアが吊り下げられた天井、歩くのも大変なくらいにフカフカな絨毯。まさに贅沢の限りを尽くしている。
その謁見の間の奥、数段高い場所に国王が座していた。王冠には宝石がきらめき、高級そうなマントを羽織っている。隣にはお妃と王子が並んで座っていた。彼らもまた、豪華な装いをしていた。
(なんだ、この成金趣味の連中は……)
俺の目の前に広がるのは、金と宝石で飾られた世界。戦場の泥臭さとは対極にあるこの場所に、俺は嫌悪感を覚えた。
国王のまわりには、高位の文官たちが立ち並んでいた。彼らの視線が俺たちに注がれる。汚いものを見るような目つきの者もいれば、まるで珍しい動物を見物しているかのような者もいた。どちらにせよ、俺たちを見下しているのは明らかだった。
兄のルイスが国王に対して戦果を報告した。王に報告するのは兄の役目だった。俺は兄の隣で、ただ跪くだけ。元々、俺は王に謁見できるような身分じゃない。何か失礼なことでもすれば、即座に首をはねられてもおかしくないのだ。
兄の報告は、とても簡単に、戦いの経過を順番に説明しただけだった。その後、王からも文官たちからも特に質問も無かった。それもそのはず。この時、国王やほとんどの高官たちは、魔王軍との戦争に全く興味を持っていなかった。彼らの関心は、贅の限りを尽くすことだけで、戦争への興味も、魔王軍への危機感もなかった。まるで他人事だ。
俺たち兵士は、こんな奴らのために命を賭して戦ったというのか。
兄の報告が終わると、王はただ軽く頷くだけだった。その後、何の感情もこもらない一言が響く。
「よくやった。下がれ。」
軽い言葉だった。俺たちは礼をしてその場を退いた。




