第11話 因縁との対峙
翌日、俺にとって三日目の戦場が始まった。前日までの流れで、今日もゴブリン共を蹴散らしてやるつもりだった。現実はそう甘くはなかった。理由は一目瞭然。今日はゴブリンどもの中に、あの忌まわしい存在が混じっていた。
オーガだ。
身長はざっと三メートル。体は筋肉の塊で、凶悪な顔にはいかにも楽しんでいるような歪んだ笑みが浮かんでいた。ボロ布をまとっているが、その隙間から巨大な筋肉が見え隠れしていた。片手に持つ棍棒は、まるで木の幹を引きちぎって武器にしたかのようなサイズだ。
なぜ前日までいなかったオーガが、突然現れたのか? その理由は、オーガの戦い方を見てすぐに理解できた。オーガは遊んでいたのだ。体格の差があまりにも大きいため、本気で戦わなくても、オーガは人間に勝てる。それを知っているから、気が向いたときにしか戦場に現れない――そんな余裕すら感じさせる戦い方だった。おそらく、オーガは人間の軍を相手にしても、自分が勝つのは当然だと考えていたのだろう。軽い気持ちで、適当に棍棒を振りまわす。それだけで、人間の兵士たちは次々と吹き飛ばされる。オーガにとっては、人間と戦うことなんてただの気晴らしなのだろう。
とにかく、この日はオーガも参戦していた。
実は、オーガとレオンには因縁があった。俺がレオンに転生する前日、レオンはオーガに襲われていた。レオンがあのオーガに襲われた瞬間が、今でも鮮明に浮かんでくる。
目の前で仲間が次々に吹き飛ばされる。その奥で、オーガが棍棒を振りまわしている。レオンは叫ぶ。仲間が吹き飛ばされる。そして次の瞬間、棍棒がレオンの目の前に――それが彼の最後の記憶だ。
おそらく、レオンはその時の傷が原因で死んだ。そして彼の魂は消え、なぜか俺の魂がレオンの体に入る形で転生することになった。
だから、オーガとの戦いはレオンの弔い合戦でもあった。
オーガに立ち向かう決意を固めた俺。圧倒的な力を前にしても、逃げるわけにはいかない。これまでのゴブリン戦では感じなかった緊張感が、全身を包み込む。
ここで逃げたら、レオンの無念を晴らすことはできない。大丈夫だ。今の俺には、昨日に習得した疾風の剣技がある。そう自分を鼓舞し、この戦いに挑む覚悟を決めた。




