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新しい魔法の研究

属性混合とは基本属性をイメージの力で混合し新たな属性として作り出す技術だ。


前回たまたま僕が使ったこの技術は明確なイメージが必要な為あまり使い手がいない。


現にスターチスですら僕が何をどうやってゴブリンを倒したのか理解出来ていなかった。


僕がやった事は9mmパラベラム弾を土属性で形成し、硝石、硫黄、木炭の混合物を硝石75%、硫黄10%、木炭15%の比率で混ぜ合わせ黒色火薬としたものを火属性でイメージしたのだ。


結果手の中に弾丸が形成され、銃のイメージで射撃する事で発射された訳だ。


そう説明しようにも僕の言語理解スキルの低さでは要領を得ない。


しかしこの銃弾を錬成し撃ち出すという技術は僕のイメージを強く刺激する結果となった。


まずファイアボルトだが、スターチスに頼んで何度か見せて貰っている内にいくつかの改良点に気がついた。


まず、炎の色が赤いと言うことは無駄があると言うことだ。

もっと酸素を混ぜて燃やす事で火力がグンッと上がるだろう。

そこでまずはファイアボルトの原理を習い、そこに現代科学の炎のイメージを重ねて見る。


炎の色が赤から白に変わった。このファイアボルトをキープしたまま、風属性に変化させた魔力をさらに酸素に置き換えていく。

形成した酸素を白いファイアボルトに混合する。

そして出来上がったのが、スカイブルーに近い蒼い炎だった。

美しいと言っていい程の蒼き炎が僕の掌に点っていた。

的としてそこにあった大きな岩に撃ち込んでみる。

「ふぁいあぉると」腑抜けた発音になったが蒼いファイアボルトが岩に向かって飛び爆音と共に岩を砕き溶かした。

スターチスが目を丸くして声を失っている。

おお、中々の破壊力...そう思った次の瞬間意識を失った。


数時間後目を覚ますと僕はスターチスに抱き抱えられて移動中だった。


「目が覚めましたか?」

スターチスの声に反応して「ぁぃ」と返事する。この属性混合という技術、かなり汎用性が高く異世界人向きな技術だが如何せん消費魔力が大き過ぎて僕の魔力総量では一撃で気を失ってしまう。

「先程のファイアボルトは凄かったですね。あれじゃ既に中級魔術のファイアジャベリン並でした。」

やや興奮気味に話すスターチス。

「まだ赤ん坊なのにアルトの魔法技術は既に中級魔道士匹敵するという事です。」

褒められて嬉しい....が、やはり改良が必要だ。

うーんと悩みながらあれこれと考える僕を微笑みながら眺めるスターチス。

思考しトライアンドエラーを繰り返すのは、非常に楽しい。

色々なスキルを合わせれば新しい攻撃手段も出来そうだ。

そこでスターチスにいくつか実験をおねがいしてみた。

「私は異世界の知識が無いので、あの蒼い炎は無理ですよ?」と言われたが、試したかったのは別な攻撃手段だ。

弓のスキルの中にコントロールミサイルという放たれた矢を誘導弾にするスキルがある。

これのコントロールの概念を切り出し、コントロールファイアボルトは可能かという実験だった。

スターチスにとっても初めての試みだった。

まずファイアボルトを作成しそのファイアボルトにコントロールを付加する。



結果は可能だった。


彼女の高い魔力操作と属性変化を使えば消費もかなり抑えられているだろう。

次はそのファイアボルトを複数同時に作り出す。

スターチスの普段無表情な顔が歪む。

それでも6発のコントロールファイアボルトを撃つ事が出来た。


ふむ、なるほど。


「アルト君、ちょっといいかな?」ゼーゼーと息が上がったスターチスが青い顔で話しかけてきた。

「あい?」

「もう無理、これ以上は撃てないから」

絞り出す様な声で限界を伝えているスターチスを見て、やっぱり人がいいなぁと思った。

スターチスは寝込んでしまったが、この検証は素晴らしいものだった。

何せ概念として理解していれば、全く違う技術にも応用出来るという事なのだ。

既存の魔法を解析すれば、消費の多さも減らす事が出来そうだ。

まだまだ無駄が多いが、その分伸び代が大きいと言える。

こんな風に二人で検証を続け、僕は新しい魔術体系を確立していった。

近代文明と魔法を掛け合わせた、新しい魔法使い...いいねぇ、浪漫しかない!!

「くくくくっ。」と笑う僕の傍でスターチスが青い顔でうなされていた。


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