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Episode1-26
「──まぁ、でもそうだよネー ちょっと前まで敵同士だったんだよね」
男はゆったりとした動作で足を組むと、その上に頬杖をついた。
そのしみじみとした口調と”敵”という言葉はだいぶ不釣り合いだった。
「でもさ、ボクは思うんだ。戦争を最初に始めた人はバカだなぁって」
「バカ?」
「そう、もしくは愚か? 少なくとも、ボクが戦争が始まるその瞬間に居たなら、そんな下らないことお辞めなさいな。って言うのに」
そうして男はまたケラケラと笑った。
ミオよりは明らかに年上で、さもするとベルテやソルファよりも上に見えるのに、男は幼い子どものような空気をまとっている。
「ボクが生まれたときには、もうこの国は戦争をしていた。キミだってそうでしょ?」
「はい」
「兄は当たり前のように軍人になり、そしてボクもそれに倣った。だって誰もそれ以外の道を考えていなかった。ボクも周りの人間も、それが”当たり前”だった」
男の言う通り、生まれたときはもう戦時中だった。
それが日常だった。




