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Episode1-20
ミオは3歳のときにフィラム帝国へ連れて来られた。
それから今日まで、10年近い時間をここで過ごしてきた。
12歳まで集団生活をしていた施設は、幸いワデラ国出身の職員が多かったので何とか今でも、ワデラ語を忘れずにいられているが、一方で連れて来られた年齢やその後の暮らしによってはフィラム語しか話せない、ワデラ人も多くいる。
戦争は命だけではなく、言葉や文化をも奪うのだ。
しかも、一方的に。
とはいえ、幸い自分は命を失くさず、なんとか生きている。
使われるという意味では戦時中と変わらないが、毎日食事ができて、制服という着るものも与えられて、屋根のある建物で眠ることができている。
多くはないが賃金も発生していて、それは、いつか祖国へ帰るときのために蓄えている。




