Episode1-1
長き戦乱の時代に区切りがつき、世界は平穏を取り戻しつつあった。
もちろん、全てが戦前のようにとはいかない。
それでも、それぞれの国がそれぞれのやり方で、まずは己の国を整えようと復興に取り組んでいた。
ここ、フィラム帝国もそのひとつである。
「本当におめでとう。どうか、元気でね」
「ありがとう、ミオ」
少女たちは周りの人間に習うように、包容を交わした。またひとり、学舎を共にした親友が旅立つ。
「きっと大丈夫よ。今はまだちょっと混乱してるだけ、きっとミオの家族もすぐに見つかるわ」
「ありがとう、マナ」
晴れやかな顔で。不安にならないように、させないように見送ろうと決めたのに。
やはり、一番仲の良かった親友との別れは一段と寂しいものがある。
「それに、この国で素敵な縁に恵まれることだってあるかもしれない。私たち異国の人間に自らの国へ帰ることを許してくれたのだもの。この国で生きていくことだって悪いことではないはずだわ」
マナの言葉に、ミオは薄く笑みを添えて頷いた。
「また、文を書くわ。ミオの家族についても何か分かれば知らせるから」
「わたしも返事を書くね。だからまたいつか、いっぱいお喋りをしようね!」
今度は互いに向き合い、ぎゅっと両の手を重ねた。
「もちろんよ。だから今度はたくさんの幸せな話をしましょう!」
私たちの、祖国でーー