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Episode1-18
ミオの出身であるワデラ国とフィラム帝国は戦時中敵対関係にあった。
戦争の歴史の中でワデラ国は敗戦国側となり、フィラム帝国を含めいくつかの国と和平を結び、現在はそれらの国の統治下にある。
半年前まで、世界中で戦争が起こっていた。
そして、終戦を迎えてなお完全に平和になったわけではなく、多くの国が様々な問題を抱えている。
とりわけ、どの国にも共通しているのが”ヒト”に関することだ。
勝った側が、支配を目的として国を渡ったならまだしも、その逆の人たち──ミオのように一方的に連れてこられた人たちが問題となっている。
彼女たちは捕虜にされたというよりも、人的資源という意味合いのほうが強い。
戦争が激化すると当たり前だが、死人が出る。
そして、さらに軍人が必要となる。その結果、男は兵役に取られ、女が労働力の担い手とされた。
自国民だけで足りなければ、支配した国の人間で補填する。
親が金欲しさや、命欲しさに子を差し出すのではない。ただ、一方的に捕らえられるのだ。
そういった、国力増強のための人身のやり取りが道徳的に誤っていると認識されたのは、戦争も終盤に差し掛かった頃だった。




