十五話 一歩
今回投稿が遅くなってしまいすみません。
……。
読んでください!!
息を吹きかけた手のひらをポケットに突っ込んで歩き出す。
こういうのなんかいいよね。
寒いけどその中で感じる暖かさみたいな。
自然と頬が緩む。それは、今まで張り詰めていたものが緩んだ瞬間だった。
そのことに白凛は気付かなかった。
そして、…このほんの少しの瞬間を目に焼き付ける者が居た。
少しの出来事で歯車は狂い出す。これは小さな一歩。
未来は意外と変わりやすい。
そしてそれは…気づいたときにはもう遅い。
誰かはそれをーー
ーーー「運命」だとでも言うのだろう。ーーー
―――――――――
少し歩いて一つの建物を目の前にする。
この建物の中にはたくさんの子供達が暮らしている。
孤児院。
だからこそ感染症などには気をつけており常に清潔だ。
にも関わらず、これからこの孤児院の子どもたちは体調が悪くなっていく。
初めは風邪症状で冬であることも重なり、多少人数が多くても違和感を感じることはない。
しかし、症状が悪化し、孤児院の全ての子供達がベットに寝込むことになる。
原因は孤児院地下に設置された石にある。
この石はエネルギーを閉じ込めている袋に無理やり圧力をかけたようなもので、エネルギーの暴走などを引き起こす。
エネルギー暴走は現代ではほとんど起こるはずはない。
なぜなら、エネルギー解放は体がエネルギーに耐えられるような体になっている中等部3年に行うことが義務付けられているからだ。
よって、感染症だと思われ孤児院に隔離されていた。
年月が経つごとに悪化し続ける病状、孤児院の子供以外には伝染しないことから理由を探るため、研究者や過去の病気に詳しい医者などが呼ばれた。
そして、病名が発覚してから原因捜査として龍城学園2年生が捜査として呼ばれた。
それは一番はじめの症状が出てから1年半のことだった。
孤児院の中では痛みに堪えて嘆く声が響いていた気がする。
捜査開始から程なくして地下倉庫にて鮮やかな紅色の石が見つかった。
その石はエネルギー解放するための壁に少しだけ刻み込まれているものだ。
子供はまだエネルギーを閉じ込めている袋が分厚く破れにくいためか、頭ぐらいの大きな石が置かれていた。
破られた反動は大きい上に体に馴染まず苦しむ。
ただ、死ぬことは無いという。実際、死んだ子はいなかった。
要するに、死ぬこともできずに死ぬほど痛く苦しい拷問の日々を1年間以上過ごしていた事になる。
そして、石を撤去し、適切な処置をしても後遺症が残る。
何より、
精神が保たれていなかった。
狂ってしまった子や虚ろな子。会話は愚か自我すら失ってしまった子ばかりだった。
ーーーきっとこれは予兆であり、第一歩だったのだろう。ーーー
5:45。
起きていないうちに済ませてしまいたい。
目の前には、ジャンプすれば手が届く高さの塀。
塀から少し距離をとる。
3回ジャンプして助走し、ジャンプして塀に両手をかけ、その勢いで回転して塀を飛び越え静かに着地をする。
この飛び越え方、スカートだと捲れるから穿けないんだよね。
本当は片手だけ塀について逆さにならないように飛びたいんだけど、塀が高すぎるから…身長が高ければ出来たかもだけど。
そんな事を思いつつも、別に私はこの身長をコンプレックスに感じたことはない。というか結構気に入ってる。
母親は『もっと伸ばす努力をしなさい!』とか『大人になってもその身長なのよ!?』なんて言うけどさ、153cmだよ?別にそんなに低くない。
確かに「ちっちゃくてかわいい〜」とか言われることあるけど、それはその人達がでかいだけであって私がチビというわけではない。
まぁそんなことはどうでも良くてここからが問題だ。
どうやって見つからずに入るか…
...
…裏口がない。
当たり前だ。この扉はほぼ門の役割なのだから。
…
…周りから…
…
…壁
…
塀もあるのに壁もあるなんて
…
…
…
…正面突破しろと、…。
…
…
…
…人、いない、…よね…?
前回来たときの建物の設計と1日の日課を思い出しながら、当たり前のように扉のロックを解除する。
昔は鍵穴というものがあり、そこに鍵というものを差し込んで施錠・解錠をしていたらしい。そして鍵穴だとヘアピンを使って開けることができたらしい。
そうであり続ければよかったのに、…今では認識型が多いから事前に把握しとかなきゃいけないし。
でも、まぁ、ここはまだ古い型の番号式・カード式でよかったけど。
首につけてあるネックレスを服の中から取り出す。
番号を入力できるようにアクセスし、解錠する。流石に番号は完全には覚えていなかったため、昨日の夜にちょっと調べていた。
『文字番号式・カード式』とはカードに番号情報があり、カードを使うことで解錠する仕組み。なのでカードがなくても文字と番号が分かれば開けられる。
しかし、その文字と番号はとても複雑憎まれてあり、普通は何年も前の番号をかすかにでも覚えているはずはない。
その上、ちょっと調べただけでそんな重要な情報は出てこない。
要するに白鈴はその点異常なのである。自覚なしの。
ちなみに文字と番号を直接入力するには腕時計なものやネックレスのようなもので空中ディスプレイを映し出している。
こういうものは性能は違えど、持っていないものはほぼいない。
念の為フードを深く被り、扉の向こう側に人の気配がいないのを確認する。
孤児院内には金銭的な問題からか、監視カメラ等は設置されていないため気兼ねなく入る事ができる。
日課としてはまだ起きる時間ではないけれど、大人達はもうすぐ起きる時間の為、今起きていても不思議ではない。
人の気配に気を配りながら地下室に向かう順路と思われる場所を辿っていく。
地下室のドアは少し遠く、あまり近づかないと言っていたような気がする。
足音を立てずにスピードを上げながら歩いていく。
まずは中庭を目指す。
それから初等部棟(6〜12歳ぐらいの初等部に通っている子供達がいる棟)のある右側へ。
子供達の棟は三つあり、左の棟に中等部・高等部・大学部(12歳~18・19歳)、真ん中の棟には幼児(1~6歳)、そして右の棟に初等部。それぞれ4階まであり、2階はすべての棟がつながっており、「渡り廊下」兼「遊び場」兼「食堂」だ。そして、その階には人が寝ていない。よって、見つからない。
まずはじめに、初等部棟に潜入してから2階に行く。中央の階段の方に向かう。
…なぜこんなにも長いのだろうか。リスクを冒してでも正面から侵入するべきだっただろうか。
階段は棟ごとに二方向ずつ設置されており、幼児棟の正面側ではない後ろ側の階段を使って1階に降りる。
地下室に続く道があるのは幼児棟。
そう、幼児棟なのだ。
一見、遠回りをしているように見えるだろう。
しかし、実際は……
まぁ、遠回りなんだけど、一番安全だ。幼児棟には大人がたくさんいるから。特に正面の方に。
身体も鈍っているし(未来の自分と比べて)、体調もあまり良いとは言えない。無闇にエネルギー調整をするとばれるかもしれないからね。
念のためってやつかな。
おかげで一週間ぐらい調子が悪いせいか、これが普通だと思ってしまってるぐらいだ。
階段を下りて地下室の扉のある奥の方に進む。
いやー長かった。
本題はここからだというのに。
まぁすぐ終わるのだけれど。
地下室のドアの鍵も入口の扉と同じ型だが、番号が違う。
子供達が開けれないようにとのことだが、大人たちもめったに開けないためカードを持ち歩かないらしい。
だから使うときにすぐに開けられるようにするために、6文字の番号だけに設定されている。
前回開けてもらったときに番号で入力していた為、つい癖で見てしまったのだ。
ネックレスを取り出して番号を入力しドアを開けて、階段を下る。
前回と同じように地下室の真ん中あたり、要は孤児院全体の中心に紅色の石が設置かれている。
ちなみにこの石はエネルギー解放後の人でもエネルギー暴走を引き起こす可能性があるそうなのだが、義務教育を受けていればその可能性はゼロに近いそうだ。
解放後の義務教育ということは、今の私の身体は受けていない。
だから、本当は私もあまり触れるのは良くないんだよねー。
でも、時間があったからさー。
紅色に染まったい石を手に取ろうとし、指先がふれた瞬間
ドクッ
エネルギーが暴走した感覚がする。
心臓が痛い。全身が痺れる。
それと同時に紅色の石が宝石のように輝いた。
…手袋でも持って来るべきだったなぁ。
読んでくれてありがとうございます!!(笑)
今回はナレーションが入りました。おかしくないかな?
少し説明が長くなってしまったかもしれませんが、これからも読みやすいように工夫していきたいと思います。
空中ディスプレイ…欲しいなぁー




