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第十話 罪悪感は芽生えない

 もともと縛りなんてない。

 ただ自分で自分を縛り付けているだけだ。

 ――――――――――――


 聞こえてくるのは規則的な列車の走る音。

 視界に映るのは窓から見える外の綺麗な風景。

 …であるべきだろ!

 聞こえてくるのは頭に響く甲高い笑い声と鼓膜を破りそうな怒号。

 視界に映るのは窓越しから見える争い。

 なんでアキコンビと同じなんだよ!



 ―――遡ること三日前


 今日も相変わらずしんどい。

 明日、明後日は休みだからだんだん落ち着くだろうけど荷造りしないとな…ハァ~


 今日はクラスごと教室に集まって結果が書かれた紙を一人ずつ配布される。

 実技も配られるからテスト返し気分のクラスメイトがちらほら。


 歩きたくねぇ…

 一人ずつじゃなくて机に置いていて欲しい。

 レストランとかにある机からでてくる方式でも良い。…それはそれで恐怖だな。

 配られるまでの時間は焦れったいけどすぐに返されるのも嫌だ。

 …どうせ絶望するのは目に見えている。



「…り…白鈴!」

 ……


「白鈴…大丈夫か?」


「…えっあっ大丈夫ですけど?」


「俺がおかしいみたいな目しないでくれ!今のは絶対俺はおかしくなかっただろ!…あっ…う、うん。冴羽白鈴!…。」



 …あ~もう順番が来たのか。


 重い腰を上げ席を立つ。


 結果は変わらないのだ。開き直ろうじゃないか。


 そう考えて紙をもらう。


 確かに今日のは私がおかしかった。小さく『今日は真面目にやらないと叱られる』と言っていたのを聞かなかったことにしてあげよう。


 席について紙を見ようとしたが明輝に行く手を阻まれた。


「私1グループだったんだよね~!白鈴と同じ〜!一緒に行こうね!!」

「…私まだ紙見てないんだけどなー…」

「『光が強すぎて目が開けられなかった』って白鈴と同じ試験会場だった人たちは口を揃えてたんだけどな~。」


 …教えてあげなかったことを根に持ってるなぁ。笑顔が怖い。

 明輝もいい性格してるよ、ホント。

 雫月は明輝と違って小悪魔系が混じっているけれど。


「へー…そうなんだー…ハハッ」


『こっち見ろ!』と言いたげな目を逸らして席につく。


 明輝に阻まれたおかげで総量のことについて頭から抜けていた私は躊躇無く紙を見てしまった。


「……!!?」


 驚きすぎて声が出なかったのは良い事だったと後に思うのであった。


 はじめに目を疑った。エネルギー総量が書かれているグラフの形がヤバい。


 受験生には正確な数値としての総量は教えられない。普通の受験生の結果に載っているのはだいたい均等に引かれている1・2・3・4グループに分けられるラインの中に印が付いている。

 私の場合、2・3・4グループのラインがほぼ一直線に見える。印と1グループの最低ラインの幅が広すぎる。


 コレ龍城大学確定では?

 …いや能力がショボかったら…そうなったら支援にまわされるな。

 前回は空間能力だと判定され龍城大学に入ったけれど私より強い人がいるからサポート役だった。

 …サポートというよりは結構一緒に戦っていたけど…

 龍城大学には支援するという概念があまりないんだよね。名前だけで実際は結構普通に戦う。

 能力をショボい事にしてたら任務じゃなくて先生とかに個人授業させられそう。



 大学に通うと任務という名の仕事が来る。

 レベルの高い大学になるほど危険度は高くなり任務も増える。

 一応、拒否可能。

 どんなに強くても戦闘は生死に関わるため、あくまでも本人の意志を尊重されている。受諾したとしても護衛が必ず一人以上加わる事になっている。それは龍城大学も例外ではない。ただ、護衛は生徒よりも強く、あるいは同等でなければ意味がないので護衛人数はいつも一人だ。

 龍城大学の生徒は普通の軍人よりも強い事が多いから護衛になれる人が少ない。居たとしても都合が合わないことが多いし。

 だいたい先生が付くけど先生は強すぎるから国としては護衛させるくらいなら別の任務をしてほしいらしい。そりゃそうだ。



 どう頑張っても龍城大学だろうな。

 まぁそんなに個人として目立つことはないだろうからいいけど…



 実技は前回と同じ85点。

 難しめの問題だけわざと間違えたりしたけどそれでもこの点数は高いらしい。点数を下げたとしいても良いことはないだろうし、逆にわざと間違えているとバレてしまうかもしれない。それに親に見せる時が面倒くさくなる。

 85点が丁度いいのだ。


 能力の系統は特殊能力。


 エネルギー量だけ間違ってません?と言いたい。



 …そういえば、はじめから龍城大学だったら前回みたいに学校変更手続きしなくて済むのでは?そしたら親にも会わずに済むし…龍城大学の方がメリット大きい。

 よし龍城大学に行くか。



 悩んでた割には軽い決心をして…急いで荷造りして…列車に乗って…今に至る。


 クラス順に乗る事を忘れていた。前回は同じクラスの人が静かだった上、少なかった。

 みんな結構凄かったんだな。


 全体的に見れば2グループが一番人数が多く1・3グループが同じくらいとなっている。

 クラスで見れば1グループが多かったらしい。



 今日は何が発端で喧嘩したんだろう。

 …どうでもいいか。


 あ゙〜気分が悪い。体調は良くなった。けど、近頃…というより、この時間軸に来てからよく眠れない。

 悪夢を見るタイプじゃないだろうに。

 今更罪悪感でも芽生えたか、バカバカしい。

 罪悪感なんて持っていて疲れるだけだ。

 …罪があったとして誰も知り得ないことなのだから…




 それに…もし、罪悪感なんてものがあったとしたら芽生えたんじゃなくて今までずっと見て見ぬふりをしていただけだ…

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