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転生したら偉い立場の女の子でした

100話完結を目指す聖女モノ。

その日も普段通り、ゲームをしていた。

俺の名前は小松里こまつり よう。高校に通っていながら、オンラインゲームにどっぷりハマっているゲーマーだ。

ゲームなら割と何でもやった。大人気な乱闘ゲーム、育成ゲーム、ギャルゲー……。

しかし、その中でも一つだけ手を出していないのがあった。

それが、乙女ゲームである。幾らゲームと言えど、自分は男なのでストーリーはギャルゲーで代用出来ると考えたのだ。


知識があるとすれば、ギャルゲーと同じで仲間になってくれる女の子と、主人公と対立する悪役令嬢と呼ばれるグループ。それとヒーローと呼ばれる恋人……ギャルゲーでいうヒロインがいる、ということぐらいだ。


そのぐらいだろうか。後は正直知らない。でもまぁ、知らなくても大丈夫だろうと思っている。

今はネット小説でもその手の話は読めるからだ。ゲームだけでなく、ライトノベルやらネットにあげられた個人小説で事足りた。


そうして学校の帰り、イヤホンでアップテンポのBGMを聴きながら歩いていると、ふと目の前の横断歩道に小さな女の子がいた。

母親も前にいるし、微笑ましいな……と思った矢先、イヤホン越しでも分かる車の音が響く。


「危ないっ!」


身体が勝手に動いた。高校生の身体能力を活かして、咄嗟に女の子を突き飛ばす。

その次の瞬間、俺は目の前が真っ黒になった。


━━━━━━━━━━━━━━━

「……ん、あれ……」


目が覚めると、俺は見知らぬ天井を眺めていた。

しかし病院のような白のものではなく、どちらかというと高級なホテルを思わせる。

それに点滴も医療器具もない。はて、ここはどうしたものかと思っていると横から驚きの声が上がる。


「リーシュ様!目を覚まされたのですね!」

「……リーシュ?いや、俺、は……」


声を出して初めて気がつく。


高い。男のように低くなく、どちらかというと母性に包まれた女性のような声だ。


「リーシュ様、もう三日も眠ってらして……!このままでは、エドモンズ家の令嬢が居なくなるのではないかと皆心配していたのですよ!」


エドモンズ家の、令嬢……令嬢!?

つまり自分は女……ってことか!?


その言葉を聞いた瞬間に、激しい痛みが頭を襲う。


「うっ……」

「リーシュ様!」


駆け寄ってくる女の子の声を聴きながら目を瞑って、頭痛に耐える。

そこで俺では無い、『リーシュ』の記憶が込み上げてきた。


エドモンズ・リーシュは名門エドモンズ家の長女の令嬢、そして聖女として生を受けた。

聖女とは、先天的に強力な魔法、特に回復魔法を駆使する人のことを指し、その回復魔法は傷の手当から死の淵にいる人をも蘇らせる。

しかし性格には少し難があったようで、名門ということで自重が無い教育を受けていたことに加えて聖女という立場でやりたい放題していたらしい。


(こ、これは……俗に言う『悪役令嬢』ルートなのでは!?)


特別な力を持ちながら、それを使って暴れた人間は現実でも小説でも漫画でもゲームでも、ロクな結果にはならなかった。

幸いだったのは、まだ教育機関に入る前だということだろうか。あと数ヶ月で入るらしい。

リーシュは数日前に大熱を出して寝込み、起きたら俺になっていた、というわけだ。


という事を重点的に、諸々思い出して顔を振る。

そして真っ先に思い浮かんだことを叫ぶ。


「なんでトランスセクシャルしているんだ!?」

「あの、リーシュ様とら……?……顔色が優れないご様子ですが、もう一度お眠りになりますか……?」

「いや、だい……じょうぶ……」


心配そうにこちらを覗き込んできたメイドの容姿を見て、見蕩れてしまう。

整ったブロンズのロングヘアーに、綺麗な黒目。それでいて、どこか日本の女子高生を思い出させる顔立ち。


一目惚れだった。しかし、名前が思い出せない


「……ええっと」

「も、もしかして私のことをお忘れですか……?」


ぐ、惚れた女の子に名前を言わせるのは男としてのプライドが邪魔をする。

だが、何も分からない世界で情報を得なければプライドどころか命を失う。だから適当な言い訳を考える。


「う、うん……まだ、混乱しているみたいで……。出来れば教えて欲しいな、って」

「そうでしたか……。数日も熱で寝込んでいましたし、仕方がありません」


そう言うと他のメイドを呼びに行こうとする女の子を呼び止める。


「ま、待って……」

「?」


くるりと振り向いた彼女に、ドキドキしながら言葉を絞り出す。


「その……良ければ、もう少し、そばにいて欲しい……」

「……私に、ですか?お父様やお母様ではなく?」

「うん……」


きっと熱が上がったのは元の熱のせいじゃないはずだ。顔が発熱している。


「……分かりました、このフォルトナ・ミレー、リーシュ様のお傍におります。どうか、安心してくださいませ」


ついでに名前を名乗ってくれた。恐らくフォルトナ、というのが家名に当たるのだろう。だとしたらミレー、というのが名前に当たるはずだ。


「……お願い、少しでも長くいたいんだ。ミレー……さん」

「リーシュ様……?その、口調も変ですし私にさんを付けるなど……やはりまだ本調子ではないのですね……」


さて困った。お嬢様口調なんて分からない。それに、仕えてくれる人に対してさんを付けるのは確かに名門の子供としては怪しいのかもしれない。

それでも、彼女と一緒に居られる事を光栄に思いながら、また横になった。

ミレーは、そんな俺の頭をずっと撫でてくれていた。


(……割と、天国……)

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