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エイベル視点

俺は幻覚でも見ているのだろうか。闇魔法の人型達がテーブルの下から出てきて動き回っている。その姿は影だけの執事とメイドだ。テーブルセッティングを手早く行っている。彼女が呼んだ人型は恐らくシャドーゴーレムだろう。しかし普通のシャドーゴーレムはこんな事出来ない。


「……どうぞ……」


シャーロットがそういうと、執事風のシャドーゴーレムが陛下を案内する。陛下はシャドーゴーレムの案内で席に座る。エイベル達も案内された。警戒は続けるが、このご令嬢も警戒している。陛下にではなく俺達に。恐らく人見知りなのだろう。領地に引っ込んでいたご令嬢ならば当然か。無闇に攻撃してくる事はないだけマシだろう。

シャドーゴーレム達が紅茶を出してくる。デクスターは陛下の前に置かれた紅茶を【鑑定】してコクッとうなづいた。毒は入っていない様で安心して陛下は紅茶を飲む。俺達も一口。随分と美味しい紅茶だ。


「改めて、余はエルドレッド・フォン・レジャンド国王だ」

「側付き執事のチェスターです」

「シリル・フォン・バークマン。侯爵でチェリッシュ公爵派の筆頭貴族だ」

「陛下お抱えの冒険者パーティ “ 閃光 ” のリーダーをしている魔法使いのエイベルだ」

「同じく、“ 閃光 ” の剣士のキャシーよ」

「回復魔道士のデクスターだ」


自己紹介するとシャーロット嬢は頷く。言葉数は少ないがコミュニケーションは取れる様で安心した。


「……お話し……?」

「おお、そうだったな。お父上が亡くなったのは知っておるな?」

「……亡くなった……?……いつ……」

「1週間ほど前だが……まさか知らなかったのか!?」

「……父上……ここに来なかった……代官……使用人……夜逃げ……報告……来ない……」

「そうか……うん?代官もいないのか?」


シャーロットはコクッと頷く。おかしい。公爵からは定期的に領地についての報告を受けていた。使用人や代官がいなければ報告が出来ないはずだ。


「……ちなみに、領民や領地の運営については……流石に分からんか」


陛下はそう言って唸った。まさか10歳の子供に領地の事は分からないだろう。


「……領民……私だけ……領地運営……収入……ゼロ……?」

「え!?領民いないの!?」


キャシーは思わず声をあげた。当然だろう。領民がいないと言う事は領地の収入もないと言う事だ。


「どうやって税金を納めておったのだ……」

「魔獣……討伐……素材……収入……」

「誰かが魔獣討伐をして、素材を売って税金を納めていたと言う事か?」


シャーロットはコクッと頷く。そうか。そうして売った金を税金にする事で誤魔化していたと言う事か。しかし、若干無理がないか?


「魔獣討伐は誰がやっていたんだ?」

「私……森で……倒してた……」

「君が倒せるのだったら税金は払えないだろう?」

「……ブラッディーウルフ……素材……高い……群れる魔獣……沢山討伐出来る……薬……武器……防具……作る……高く売れる……」

「「「「ブラッディーウルフ!?」」」」


嘘だろ?ブラッディーウルフは確かに皮は防具に、牙は魔道具に使われ、魔石も質が良ければ高く売れる。しかし奴は単体でBランク、群れであればSランクに指定されている魔獣だ。パーティならCランク以上、単機ならAランク以上でなければ討伐できない。こんな子供が単機で討伐出来る魔獣ではないのだ。しかも彼女は今、薬と武器、防具を作れると言わなかったか?


「どんな薬を作るんだ?」

「毒消し……傷薬……魔力回復薬……魔力漏洩症回復薬……エリクサー……」


聞き捨てられないものが出て来た。エリクサーが作れる?この子供が?エリクサーはまさに万能薬で治らないものはないと言われる超高級薬だ。素材の希少性もさりながら、作れる者も少ないのだ。というか『いない』と言っていいほどだ。


「ちなみにエリクサーは今手元にあるかな?」


陛下に言われてシャーロットはテーブルに手をかざす。影から触手が伸びて来た。その触手は薬瓶を持っている。それを受け取ったシャーロットはシャドーゴーレムに渡す。それをシャドーゴーレムはデクスターに薬瓶を渡す。


「うん?俺か?」

「国王……直接……不敬……」

「あ、ああ。なるほど……」


その辺は分かっていたのか。デクスターはしごくごもっともな言葉に苦笑いをして薬瓶を受け取る。


「【鑑定】……陛下。間違いなくエリクサーです」

「なんと言う事だ……」


陛下は頭を抱える。当然だ。こんな子供が規格外の薬制作者だ。この調子なら討伐も間違いないだろう。


ギャォォォォ!!


外から魔獣の声が聞こえた。この声、まさか!


「ワイバーンか!?」

「なんでこんな所に!?」

「最近……多い……」

「「「はぁ!?」」」


ワイバーンが大量発生してる!?なんで平然としてるんだ、この子は!もしかして領民がいないのはこのせいか!?


「ワイバーンがいるというのは危険じゃ。被害は?」


陛下の質問にシャーロットはとんでもない答えを返す。


「何も……ワイバーン……弱い……討伐……してる……」

「「「「……」」」」


弱い?討伐してる?この子が?すると外から断末魔が聞こえ、墜落音がした。


「……討伐……完了……」


予約投稿です。誤字脱字がありましたら連絡お願いします

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