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5年後の日常

5年が経ったチェリッシュ領は王国一の領地となっている。領主であるシャーロットは成人を迎え年々美しさに磨きがかかっていき、すらっと背の高い美女となっていた。婚約者であるクリフもシャーロットと出会った時は背が低かったが、すっかりシャーロットの身長を超して貴族の子女の目を奪っていた。セレスト達も成人を迎え、美男美女揃いとなっている。

成人したシャーロットとクリフは正式な婚約者として婚約式を行った。結婚はクリフの学園卒業を待って行う事になっている。

そしてもう一人節目を迎える人物が……


「母様!」

「エド。朝の鍛錬は終わった?」

「はい!お風呂にも入って来ました!」

「そう。じゃあ、朝食にしましょうか」

「はい!」


エドウィンは5歳になり、屋敷でお披露目会を行う事になっている。実はその時に婚約者も発表される。というのも、エドウィンが1歳になる頃に王太子の長女ヴァイオレット様が誕生し、同時にエドウィンの婚約者にしようと陛下から打診があったのだ。公爵家はお姫様を妻にもらう可能性が非常に高い。知ってはいたから覚悟はしていたが、ここまで早いとは……。姫も大変だな。これで騎士の誰かと身分差の恋でもしたらどうするんだろうか。いや、まあ贔屓目を抜きにしてもエドウィンは優しいしイケメンだから、お姫様も満更でもないだろうけどね。


「今日はヴァイオレット姫がいらっしゃってるんですよね?」

「そうよ。だから、今日はお昼前にお屋敷に行って、お披露目のご挨拶をして、ヴァイオレット姫と謁見するのよ」

「どんなお姫様なんでしょうね!」


エドウィンは嬉しそうにご飯を食べながら言う。そう、今日が2人の初対面だ。ヴァイオレット姫には何度かシャーロットのみが謁見している。とても可愛らしい子だが、年々我侭さが見え隠れする様になってきている。お姫様だし周囲の使用人も甘やかし放題なのだろうが、これは先が思いやられる。


「お披露目会にも来るの?」

「ヴァイオレット様のお披露目は来年だからまだね。でもバークマン侯爵家のハリーもお祝いしたいからって、チェリッシュ領のお屋敷で一緒にお祝いできる様に陛下が計らってくださったのよ」

「ハリーもお祝いに来てくれるの!?やったー!」


ハリーはバークマン侯爵の長男の子息だ。年が近いのもあり、理由をつけてはバークマン侯爵が連れてきていた。そのせいか仲も良く、一緒に遊んでいる事も多い。悪戯盛りでアグネスに怒られる姿も珍しくはなかった。


「今日は陛下にも謁見するんだからな。お利口にするんだぞ?」

「はい!父様!」


クリフに言われてエドウィンは良い返事をする。返事は良いんだけどねー……

朝食を食べ終え着替えを済ませた頃に屋敷のベルが鳴った。


「ようこそ、バークマン侯爵、ハリー様」

「久しぶりだな、セバスチャン。元気そうで何よりだ」


セバスチャンがドアを開けて頭を下げた。バークマン侯爵は相変わらず。5年前に増えた領地の運営で大忙しだ。それでもシャーロットの提案で寄子になった旧帝国貴族達の手やダム建設の効果もあって、貿易の方面で強い力を持つ様になっていった。


「エドいる!?」

「こら。まずはご挨拶だ」

「はい。こんにちは、セバスチャン。エドは?」

「エドウィン様はお着替えをしております。もう直ぐ終わりますよ」


4歳のハリーは年の割に賢く、バークマン侯爵家のしつけの良さが窺える。とはいえ年相応のヤンチャさはあり、バークマン侯爵も手を焼いている様だ。


「ハリー!いらっしゃい!」

「エド!おはよう!」

「おはよう、エドウィン」

「バークマン侯爵。ご無沙汰いたしておりました」


バークマン侯爵に気が付き、居住まいを正して挨拶をする。公爵家の子息とはいえ、侯爵の方が身分は上だ。礼儀は守らないといけない。


「カッコいいな!エド!」

「ありがとう。アグネスが気合入れて選んでたよ」

「これならお姫様も喜んでくれるな!」

「そうかな?」

「おう!だってエドはいい男だからな!」


エドは剣術も出来、魔法にも素質がありそうだ。歩ける様になってからは屋敷の書庫で本を読んでいた。それを見たシャーロットが『流石は私の弟だわ』と笑っていた。流石に水の初級魔法を自力で使い始めてからは『大人がいない時に使ってはいけません』と言ってある。事故が起きたら大変である。陛下もバークマン侯爵も『一人で全属性使える様になった子が言う台詞じゃないな』と苦笑していた。母として姉としては自分の苦労を味合わせたくない。まあ、とある理由でその願いは脆くも崩れ去ってしまうのだが。


「バークマン侯爵、ハリー。お久しぶりです」

「チェリッシュ公爵。遅くなりました」

「いえ、こちらも今準備が整いましたので。セバスチャン」

「馬車を準備いたします」


セバスチャンは頭を下げて外に出る。馬車はシャーロットが開発した物を使う。空間魔法で中を広げて第2のリビングの様な状態だ。流石に街の中を移動するだけなので旅仕様の馬車ではないが。


「しかし、ついにエドウィンも5歳か。早いものだな」

「ええ。5年なんてあっという間でしたね」

「シャーロット嬢とクリフの成人も早いと思ったが、この5年は特に忙しかったからな」

「自分で撒いた種とはいえ私も領地開発で忙しかったので、エドの成長は本当に早く感じました」

「少し前までセバスチャンの抱っこで泣いていた子がなぁ……」


バークマン侯爵とシャーロットは懐かしむ様に話す。シャーロットは領地開発も忙しい中でここまで成長したのはアグネスやセバスチャン、アラーナのおかげだと感謝しているし、バークマン侯爵はあの辺境の地で孤独に暮らしていた発語に難のあった規格外ご令嬢がすっかり母の顔をしている事に子供の成長とは早いものだと感動さえしている。そろそろ側付きのメイドを選出しないとなぁ。ずっとアグネスに言われて探してはいるのだが、お眼鏡に叶うメイドがいないのだ。


「シャルは荒野を一から開拓している最中に領地が増えたからね。バークマン領と比べても苦労が段違いだったよね」

「そうだな。クリフ、お前も良くシャーロット嬢を支えている」

「ありがとうございます」


確かにそうだ。クリフもメインで開発しているわけではないとはいえ、10歳の仕事とはいえなかった。それを考えると褒められて然るべきだ。

エドウィンとハリーはこれから会うお姫様の事で頭がいっぱいの様だ。


「可愛い子かな?」

「まあ。見た目はいいよ。気が合うのが一番だから」

「それもそうか。気の合わない同士だと一緒にいて辛いだけだもんな」

「僕もお姫様と婚約するんだから、いっぱい勉強しないと!」

「だな。俺も頑張る!」


ハリーは悪戯大将だが勉強はしっかりしている子だ。エドウィン程ではないが、平均より上を行っている。そんな2人は一緒に勉強したり剣術の鍛錬をしたりしている。良きライバルとも言える。


そんな話をしていると王家の屋敷に到着した。保養地としてシャーロットが建てた屋敷はもはや城だ。チェスターが出迎えてくれ、一行は屋敷の中に案内される。広いラウンジにはすでに陛下夫妻と王太子、そしてヴァイオレット姫が待機していた。シャーロット達は最敬礼をする。


「楽にせよ。座りなさい」

「ありがたき幸せ」


形式的な挨拶もそこそこに、陛下はチェスターに紅茶の準備をさせる。ヴァイオレット姫は頬を染めている。視線の先にはエド……ではなく、ハリーだった。わお。テンプレktkr。何しろ蝶よ花よで育てられたお姫様だ。線の細い穏やかなエドウィンより、少々ヤンチャでワイルドなハリーに惚れてしまうのは世の常なのかもしれない。


「エドウィンよ、5歳の誕生日おめでとう」

「ありがとうございます、陛下」

「紹介しよう。王太子の長女ヴァイオレットじゃ」

「ヴァイオレット・フォン・オンディーナです」

「エドウィン・フォン・チェリッシュです」


エドウィンは少し緊張した顔で答える。一方のヴァイオレットは挨拶もそこそこにハリーの方に視線が行く。しかもエドウィンの後ろにいるので彼からしたらエドウィンを見て顔を赤くしていると思っている。まあ、エドウィンは気がついている様だけどね。母と視線を交し苦笑いをしている。緊張して損したと思っているのだろう。


「そんなに緊張せんでも良いぞ、エドウィン。其方の母は余にとっては娘も同然。其方は孫と言っても過言ではないのだからの」

「父上。いくら公爵とはいえ、娘は過言ですよ」


王太子は苦笑いをしているが、陛下は平気な顔をしている。


「ウォルターと同じ年のご令嬢だからな。初めて会った時の事は、今でも昨日の事の様だ」

「それは賛同しますよ、陛下。あの辺境で孤独に過ごしていたご令嬢が人の母です。しかも成人を迎えました。私も実の娘の事の様に思っていますよ」

「あの惨劇を見ていた者は皆、そう思うだろうな。“ 閃光 ” も時が立つのは早いと言っておったわ」


荒野で10年育ったご令嬢。今や吟遊詩人が吟じるほどに有名な話になっている。王国の子供達に人気の高い話だそうだ。エドウィンとハリーも興味があるのか目をキラキラさせている。


「母様が開発する前のチェリッシュ領ってそんなに荒れていたのですか?」

「うん?母君から聞いておらんのか?」

「恥ずかしがって教えてくれません」

「あらあら。流石に自分の武勇は恥ずかしくてお話しできないのね、シャル」


王妃様に揶揄われてシャーロットは少し顔を赤くする。別に黒歴史という訳ではないのだが、その後の世間での評価が恥ずかしいのだ。


「よく吟遊詩人は話を盛って大袈裟に吟じる事はあるが、あれはほぼほぼ実話だからなぁ」

「そうなのですか?」

「余がこの領地に来た時は領民はおらず、朽ち果てた家の名残が残っておるのみ。領主館だけが妙に綺麗な状態で建っていたからのぉ」

「大袈裟でもなく、本当にその状態だったのだ。よくあれでシャーロット嬢が生きていたと感心していた程だった」


バークマン侯爵も懐かしむ様に言う。よく『話半分』とは言うが、チェリッシュ領の場合『話八割』といった感じだ。まあ『薔薇の舞姫』という呼称はオーバーだと思うが。


「初めてあの領主館であった時の彼女には驚いたものだ。年齢とはかけ離れた頭の良さ、喋ればたどたどしくはあるがしっかりとした内容だった。すでにゴーレムは作っていたしな」

「今では当たり前の様にゴーレムにスキルがついているが、当時は前代未聞だったからのぉ。僻地に使用人さえいなかったからの。世情には疎かったのじゃな」

「先駆けじゃないですか!かっこいい!」

「ありがとう」


シャーロットは恥ずかしそうだったが、エドウィンの賞賛は素直に受け取った。


「その強さも規格外だったからな。皆が恐れる闇魔法も、世情に疎かった故か便利なのもあって使いこなしていたし、ゴーレムを作るために錬金術も使いこなしていた」

「チェリッシュ領の開発に着手して日が浅い頃に帝国の進軍もあった。そして帝国領を侵略したのもシャーロット嬢の作戦じゃ。その褒美として領地が増えたがの」

「最初はどのくらいの大きさだったんですか?」

「首都『シャリー』が最初のチェリッシュ領の全てよ」

「「え?」」


シャーロットの言葉にエドウィンとハリー、そしてさしものヴァイオレットさえポカンとする。当然だろう。今では7つの街を抱える大領地なのだから。


「その全てが荒野だったのよ。開発、大変だったんだから……」

「まだ開発が始まったばかりの頃に旧帝国領も加わったからな。シャーロット公爵は大変だったのだ」

「流石に荒野ではなかったけど、旧帝国は領地に城壁を作らせなかったからね」

「それって魔獣対策はどうしたのですか?」

「建物に籠もって籠城戦してたんだそうよ。魔獣のせいで街の中はボロボロだし、疫病で廃村になった場所もあったし、飢えて死んだ領民は放置されてたしで何処から手を付けていいか分からなかったわ」

「酷い話ですね……」


エドウィンは心痛な面持ちだ。ハリーも眉根を寄せている。チェリッシュ領で討伐される魔獣の強さを知っている2人にとっては信じられない対応なのだろう。当時のシャーロット達からしても皇帝の暗愚っぷりを改めて認識するきっかけにもなった。


「そんな領地を其方の母君はこの5年間一生懸命に開発したのじゃ。現在の王国領で最も大きく、そして最も発展した領地じゃ」

「バークマン領にいくつか作った『ダム』もシャーロット公爵のアイディアですからな」

「うむ。あれは良いアイディアじゃ。何しろ山の中に降った雨を全て貯めて、水が足りない時に放出するのじゃからな。洪水対策だけではなく灌漑計画も立てたのだからのぉ」


ハリーは羨望の眼差しでシャーロットを見ているが、エドウィンは次期領主としての自覚があるからか、シャーロットの開発計画に興味が湧いている様だ。


「ダムができたのはそんなに最近だったのですね」

「うむ。チェリッシュ領で行っている改革はどれも画期的じゃ。領民の人数などを管理する『戸籍』、それを用いて回収した税金を使った『医療費控除』や『義務教育』の導入。税金も扶養する家族のいる者は少し安くなったり働けなくなった者や高齢者には税金から『年金』を支給するなどじゃな」

「王都並みに税金は高いが、チェリッシュ領の仕事は儲かる。ここで冒険者をするにはかなり強くないといけないし、素行の悪い者は排除される。何処の領地よりも冒険者が多く、それでいて治安が良い領地として有名なのだ」

「うむ。ここの城壁を突破して入ってくる魔獣はないじゃろうが、仮にいたとしたらそれを一早く領主に知らせるために偵察用のゴーレムも配備されている。副産物として狼藉者を排除するのにも役立っておる。これは王都でも使っておるのぉ」


陛下は満足そうにいうが、すいません。前者は建前です。後者の使い方が主な目的でした。まあ、薄々気がついてはいるだろうが。


「戸籍も導入しようとしている。チェリッシュ領ではすでに教会にそのシステムを移動して行っているからのぉ。聖職者にではなく、スラムの者を教会の一角に住まわせて、衣食住を確保する代わりに事務を手伝わせるという方法は良い考えじゃ。読み書きができずとも登録などは出来るからのぉ」

「ギルド登録のシステムを使ってますからな。読み書きできない平民でも登録が簡単だというのも魅力ですな。『義務教育』も導入したい所ですが……」

「問題は規模じゃな。王都で教会に任せては大変じゃからな」


確かに王都にいる平民にそれをやるのは大変だ。税金の問題もあるが、何処まで控除するかが問題だ。


「チェリッシュ領では将来冒険者になりたい者も多いです。それを考えて、基本的な読み書き算術以外に、魔獣の種類や素材の価値、鉱石や野草の見分け方などを教えています。それに関しては領主からの依頼として冒険者ギルドに依頼を出して講師をお願いしています。鍛冶師や錬金術師、薬師、回復魔導士の育成も行っています。

しかし王都に関してはそっちよりも商会などへの働き口などを考える者が多いでしょう。それを考えると、読み書き算術は少し質をあげなければいけません。であれば、平民限定の学園の創設を考えても良いかもしれませんね」

「平民限定の学園?」

「はい。チェリッシュ領の場合、この規模に学園を創設しても管理費などが高くなってしまって無駄も多い。しかし王都なら問題もないでしょう。それに商会への働き口だけでなく、城や貴族家に需要の高い執事やメイドの育成をするために作るというのは一つの考えでしょうね」


旧帝国貴族の所にも執事やメイドは必要だ。現在の王国は絶賛人手不足なのだ。それを解決する方法としても良いのではないだろうか。

アラーナの教育を見ていて思っていたのだ。平民出身でメイドをするとなると、知らない貴族の慣例などもあるし、それを一からメイド長が教えるとなると教える人によってメイドの質が変わる。執事も同じだ。ならば派遣される前に基本を教えておけば質の向上にもなるし、定年で現役を引退した執事やメイドの働き口にもなる鍛冶師や錬金術師、薬師、回復魔導士の育成に関しては王都でも需要は高いからやっても良いかもしれない。うちの卒業生に講師の仕事を斡旋しても良いかもしれない。

控除に関しては教育費は無理でも、雑費である筆記用具だけは国から支給するくらいは何とかなるのではないだろうか。多くの場合、灯りは蝋燭が使われている。そのため蝋燭代も馬鹿にならない。しかし、チェリッシュ領では魔石を使った『魔石灯』が主流だ。部屋の灯り程度なら小さな魔石でも1週間はもつ。価格も流通も安定しているし、王都にもこっちから輸出すれば良いだけだ。


「……陛下」

「うむ。計画してみよう。シャーロット公爵よ、手伝ってくれないか?」

「かしこまりました」


あちゃー、また仕事を増やしちゃった……。セバスチャンに怒られちゃうな。


「……母様、無意識に仕事を増やす癖、何とかしません?またセバスチャンに小言を言われますよ?」

「だよねー……」


たまに外に出ると、一つ二つ大きな仕事を増やして来てしまう癖があるシャーロット。家令であるセバスチャンが困った顔で苦言を呈する姿も屋敷ではお馴染みだ。


「はっはっは!よくセバスチャンが心配しているとチェスターから聞くのぉ!」

「代官やクリフ様に振り分けても、すぐに自分の仕事を増やして来ると言っておりましたからな」

「適任者を選任すれば、あとは報告書の精査だけですからね。それも偵察ゴーレムで減っていますし」


同じ城仕えだったチェスターにセバスチャンはよくシャーロットの事を話していた様だ。シャーロットの事を心配している陛下夫妻への現況報告も兼ねているのだろう。

とはいっても、実際の仕事量はそうでもないのだ。最近は街に出て教会で枢機卿のクラークとお茶を出来る程度には時間もあるし、エドウィン達と戯れる時間も出来た。


「そりゃあな?この5年間を考えると大分時間も余裕ができたけど、だからと言って仕事を増やせるってわけじゃないんだぞ?」


クリフにまでお小言を頂戴してしまった。まあ、自覚はあるけどね。話している間に『あ、これ、仕事増えちゃうな』と感じてしまう程度にはね。


「ちゃんと寝れてはいるのか?」

「安眠妨害はされていませんね」

「なら、まだ良い方か」

「父上!」

「チェリッシュ領の開発に着手した頃に『安眠妨害される』と言っていた頃と比べたらちゃんと寝ているだけ良い。あの頃は領地開発で頭が一杯で睡眠すらろくに取っていなかったみたいだからな。それよりはマシだ」

「はぁ……」


睡眠が取れないと疲れも取れない。睡眠は大事なのだ。バークマン侯爵はその域に達していたが、クリフはまだその域に達していない。婚約者なのだから頑張って欲しい所だ。


予約投稿です。誤字脱字がありましたら連絡お願いします

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