表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/45

マイク視点

「いやぁ!最初聞いた時は大丈夫やろかと思っとったけど、これは凄まじい勢いやな!」

「そやろ?父ちゃんも俺に乗っかって正解やったやろ!」

「大博打やと思っとったけど、大商いやで!流石は我が息子や!」

「調子えぇのぉ.......。ずっと『ホンマに大丈夫か?』って言い続けとったやん」

「それはそれ!これはこれや!」


カーディナル商会の支店では、俺と会頭である親父が話とった。店はメインの大通りに面した一等地!『大通り沿いは早い者勝ちよ』ってシャル……シャーロット公爵が言っとったから、少々他の場所よりは値は張るが俺は即決した。まあ、定期的に日用品を領主館に納品する代わりに少し値引きはしてもろーたで?シャルは苦笑いしとったけど、これが商人っちゅうもんじゃ。運営は親父の右腕っちゅう男に任されとる。ちゅうても、俺が成人したら俺が店長になるらしいんやけどな。

まだ開発途中の領地は半分も埋まっていない。けど冒険者はぎょうさん来とるからな、腕の良い冒険者しか来ないからか羽振りもええ。利益は王都の本店に匹敵しとるから、親父はニヤつきが止まらないみたいやわ。


「隣のモニーク武具店も凄いらしいで?ここは冒険者が多いからやろな」

「質のええ武具が手に入るんやったら、冒険者はこぞって手に入れたがるやろうな」

「しかも、王国お抱え冒険者の “ 閃光 ” が滞在しとって、そこで【コキュートス】が付与された剣を買ぉてダンジョンアタックしたらしいで?」

「何やてぇ!?突破したんか!?」

「もちろんや。素材もガッポガッポやし、体力も問題なかったらしいわ。奥の鉱山から希少な鉱石も採掘しとった」

「.......その素材と鉱石は?」

「半分はウチで買い取らせてもろぉたわ」

「よぉやった!」


親父が興したカーディナル商会の専門は最初は魔獣の素材。せやけど、今は食品部門とか生活雑貨部門とか色んな分野に手を伸ばしとる。当然鉱石も取引しとる。質のええ鉱石があったら仕入れたいと思うのは商人としての性やろうな。


「もう半分はモニークの方で買っとったわ。仕入れても仕入れても需要があるもんやから、作った傍から売れてまうらしいわ」

「そらまた羨ましい悲鳴やな」

「ヴィンスはモーツァルトとセレストと一緒にバークマン領に商いに行っとるわ。領地が増えてもぉて需要に対して供給が追いついとらんって言うとるから、質の良い鉱石とか武具を輸出しとるらしいで。うちからも建築資材出しとるしな」


バークマン侯爵も大変やろうな。結局、帝国はチェリッシュ公爵が裏で糸を引いて帝国貴族達主導で陥落しよった。結果として、山脈の多い旧帝国領のど真ん中に流れる大河を使った物流が必要不可欠になりよった。

大河を使った物流の難点は雨の時の氾濫や。大雨が降りよると川が氾濫して近くの街が水没してまう。その問題に直面したバークマン侯爵はシャルに妙案はないかと聞いたみたいや。みんな『んなもん10歳に聞いても分からんやろ』って思っとったけど、あっさり『山脈の中にダムを作ったらどうですか?』と答えた。

ダムとは大雨で降った水を一時的に貯めておく場所の事らしい。山に降った雨水だけでも貯めておけば氾濫を防げるやろうっちゅう考えや。これがええのは干ばつ対策にもなるっちゅう事や。雨が降らんと干上がってしもーた時にダムから放水すれば水の心配もないっちゅうこっちゃな。

これにはバークマン侯爵も『その手があったか!』言うて大急ぎで建築に入ったらしいわ。シャルも大河に繋がる川がいくつも領地に流れてるから、侯爵から相談されなくても提案しようとしとったらしい。しっかし、よぉ思いつくなぁ。同い年とは思えんわ。


「チェリッシュ領は大丈夫なんか?領地が増えたんはチェリッシュ領も同じやろ?武器は足りるんか?」

「冒険者ギルドで腕利きの冒険者を派遣しとるらしいわ。すでにモニーク武具店の武器を持っとる冒険者と公爵軍がいくつかの領地に派遣されて走り回っとるらしいで」

「作ったばっかの軍は大丈夫なんか?」

「公爵に鍛えられとったからなぁ。ジェイクもろとも、ダンジョン周回訓練しとったわ」

「……」

「父ちゃんの反応はご尤もやけど、現実や」

「あの難攻不落と評判のSランクダンジョンやで!?」

「そうや」

「誰もボスを倒せんくて死者も出とったっちゅうダンジョンやで!?」

「せやな」

「それを周回!?」

「領主自らやっとったからなぁ。領主館に生活用品を納品するついでにシャーロット公爵が持っとる素材も定期的に買取ってるわ。モニークと山分けしとるで。質もええし、良え武具が出来とる」


親父は唖然としとるわ。当然やろな。俺はもう慣れた。いちいち驚いとったら心臓もたんわ。


「そう言えば、俺が公爵お抱えになっとるから、専用の馬車を貸してもろーてるで?」

「専用の馬車?」

「リビングに寝室付き。キッチン、トイレ、風呂付きや」


親父が卒倒しそうになったんは言うまでもないな。


予約投稿です。誤字脱字がありましたら連絡お願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ