オス!おらエミリオ!よろしくな!
魔法訓練4日目 今日も天気がいい昼下がり、エミリオと両親が家の裏の原っぱに居る。
妹のロザリーはいつものように家のベビーベッドからこちらを見ている。
「よし!エミリオ!今日はお前の今の魔法力がどれ程有るのか測定して見よう!」
魔法は無限には使えず人それぞれだが一日に使える魔法力の限界がある。
通常は一日に経つとある程度か全開に回復できるので、まだ子供の魔法訓練は一日一時間程度なのだが、エミリオの場合非常識なレベルの魔法ばかり出すので、両親が魔力切れを心配して毎回一度の魔法で訓練を止めている。
『まだ魔法訓練して4日目でこんなテストをするとは!ただ今までの結果から考えると…』
「エミリオ!パパの指をさしたあの一際高い山が見えるだろ!」
「あの山を目掛けて全力でファイアを唱えてみろ!」
『ファイアは火の初級魔法だが、前回の火柱の件が有るからここは慎重に行くか!』
エミリオ達のいる場所からロザリオの指を指した山迄は約10Kは離れてる。
ロザリオもあの山迄エミリオの魔法が届くとは思ってない。
『俺でさえ上級火魔法で届くかという距離だ!…ただエミリオだから此処は慎重になるしかない!』
「エミリオ!準備は良いか!全開でファイアを唱えてみろ!」
「はい!」
「ファイア!」
「ちゅっどおぉぉぉぉん!」
凄い命中音とともに地面が軽くビリビリッと振動した。
目標の山が絶賛山火事中であった。
流石に無自覚のエミリオでさえやばいと感じ直ぐにウオーターを唱え山火事は鎮火した。
エミリオはファイアを唱えた途端の惨状を目のあたりにして慌ててパパを見たのだが、フリーズしていたのですぐに自己判断で取りあえず沈静化に動いた。
『え〜と先ずはウオーターで火を消して、動物とか人が火傷していたら大変だからケアルかな?』
『その後は山の植物をイメージして時間加速のクイック?かな』
一瞬で山全体が燃えたと思ったら直ぐに炎は見えなくなり、そして山から動物たちの移動する音が遠くから聞こえたと同時に無数の鳥達が山から飛び立ち、その後山全体が黒くなったのに一瞬で山は緑色に戻った。
『エミリオくんは何をしてるのかな?ウオーター唱えてケアル唱えてクイック唱えてるね……』
ロザリオは恒例のスーパーフリーズをしながらも我が子の行動だけは目で追っていた。
魔法訓練を始めてから、毎晩夕食後にロザリオとエミリーがエミリオに魔法の座学を行っている。
座学の内容は、効率の良いマナを集める呼吸法や放出方法、魔法の属性と種類、初級魔法の名称等である。
あくまで参考の為に両親が話しるが、話してる当人達も、もしかして6人の精霊王様を呼んでしまう規格外のエミリオなら全部使いこなせるのかもしれない、なら最初に基本だけは全て教えておこうと考えもあった。
現在使われてる魔法だけではなく、古書には書かれてるが現在は使える者が居なく伝説とされてる魔法迄話している。
伝説の魔法は主に時間系(神様の領域とふるくから言われている)、重力系、光系や複合魔法(複数の属性を合わせたもの)で例えば、クリーンと言う魔法も複合魔法に該当する。
クリーンは名前通り衣服や体等を綺麗にする魔法だが、汚れを取り除き乾燥させるため、水、火、風、重力の4つの属性を使わなければいけない為、便利な魔法ではあるが現在は使える者がいなく、もしこの魔法を使える者が居たら莫大な金を稼げるとまで言われてる。洗濯や体を洗う行為はこの世界でも当たり前に行われているのだが、いかんせん街の中は異臭がしていて、上流階級の服はこの世界の洗濯方法だと生地が傷んだり色落ちするのでクリーンはとても需要の多い魔法の1つだ。
『まさか、上級魔法のファイアイクステンシブやウオーターイクステンシブやイクステンシブケアルを呪文サポート無しで放った上、扱えるものがいないと言われてる伝説の時間魔法クイック迄使った上に魔力切れの兆候さえ見えてない…』
『もしかしてエミリオは化物なのか?!』
ポンポン!
「だって〜エミリオですもの〜ふふふふ」
難しい表情のロザリオの肩を2度ほど軽く叩いてエミリーはお決まりのセリフを言った。
『いかん!一瞬でも我が子を化物と思うなんて!なんて父親だ!エミリーの言う通りだ!』
「そうだった!エミリオだもんな!はははは」
二人共心から微笑んでる顔をしていた。
二人の瞳には相変わらず光がなかったが。
その後も毎日魔法の訓練は続いた。
魔法力切れの兆候が前回の魔法コンボでも見られなかったので1日3時間魔法訓練にあてられた。
そして夕食後の魔法の座学が1時間行われている。
訓練は殆どの時間がマナコントロールに割かれていた。
攻撃にも使われるファイア、ウオーター、サンダー、アイスはマナをコントロールできるようになる迄二人の許可が無いときは使用禁止にされた。