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猛蔵改エミリオに進化しました。

「エミリオ……エミリオ……」

女性の声が聞こえてきた。

猛蔵は目は動くが顔を動かすことが出来ずにいた。

目の前には、輝くような銀髪の美少女と隣には薄紫色の髪の美麗細マッチョの青年が居た。

そして二人共「エミリオ」と連呼していた。

猛蔵が声を発する度に「だぁ〜」「だぁ〜」と自分の耳に聞こえる。

猛蔵は頭の中で状況が理解できなくなり考えるのを放棄した。

まだ猛蔵(エミリオ)は生後間もなく、首さえも座っていなかった。


初めのうちは当り前だが言葉もきちんと発音できなく、這うこともできないのでスキを見ては転がってた。

『これが俺のローリングだぜ!』と「だぁぁぁあ〜」と雄叫びを上げながらエミリオ転がってた。

どうやら俺はエミリオと言う名前の子供らしい。

猛蔵の記憶はしっかり覚えてる。

『この状態!もしかして俺は転生したのか?』

猛蔵は前世で自分の頭が吹っ飛んで無くなって死んだのを覚えてるはずもなかった。

それは一瞬の出来事だったから。

初めのうちは、次に目が覚めたら現実に戻ると眠るたびに思ってたのだが、何度繰り返しても状況は変わらなかった。

『現実を受け止めよう、先ずは状況把握しないと』

今では自力で横に転がる事ができるまでになり、生まれてから半年を過ぎていた。

猛蔵は毎日聞こえる会話を整理して現状を何となく理解した。

薄紫色の髪の青年がパパで名前はロザリオ、背が高く細身の美麗細マッチョな青年だ。

輝く銀髪の少女がママのエイミー、背は小さく細身の超美少女だ。


家の近くには犬獣人の家族が住んでいるらしく、毎日のようにうちに来ては俺の顔を覗き込みその後はパパとママと談笑している。

近所の犬獣人は夫婦で子供が二人いた。父親がクゥーと言う名で母親がキャミーと言い、ジミーと言う名前の4才の兄と弟のショー2才。

犬獣人は顔は人間で二足歩行だが、クゥー家族全員に犬耳と尻尾が付いていた。

初めてクゥー家族を見たときは滅茶苦茶驚いたのだが、今では慣れたし実際いい人達だと感じてる。

クゥー家族が来てる時のパパとママの楽しそうな声で何となくそう思えた。


『生まれてから半年ほど経ったらしい』

『自分の前世の記憶をもっている今の状況を考えたら、以前テレビかネットで見た子供は3才位で一度脳にリセットがかけられると言う話を思い出していた』

『生まれたときは排泄をさせる為に性感帯を膀胱と肛門に集中させてるらしい』

『だから赤ちゃんは排泄したときうっとりした表情をすると話していたな』

『その後3才前後で性感帯を性器に移動して、それ迄の記憶も消去するらしい』

『ただ稀に記憶消去がうまく行かず、母体の中にいた記憶を持つ者が偶にいると言ってたな』

『俺は3才位で記憶がリセットされて猛蔵の記憶がないエミリオになるのかな?』

『産まれたばかりの時は、皆前世の記憶を持ってたのかもな〜』

猛蔵がそんな事考えていたとき頭の中に他人の声が聞こえてきた。

「通常は転生する前に前世の記憶はリセットされるものじゃ、おぬしの生前の記憶は消えることはない、おぬしの生前の記憶と経験は財産じゃよ……」

周りを見回しても声の主は見つからなかった。

『俺大丈夫なのか?頭の中に他人の声が聴こえたと感じたり………』 

その後取り敢えず先程の声は現実にあった事と考え、記憶もリセットされ無いと考えることにして情報収集を頑張ることにした。


エミリオが産まれて約一年の月日が経った。

エミリオは現在拙くはあるが「パパ」「ママ」は言えるようになった。

歩行も拙いながら出来るようになっていた。


この一年でかなりの情報をエミリオは手に入れた。

「ロザリオさん夫婦がここに来てもう一年はたつんかの〜、初めて見たときはほんに驚いたの〜、2人共それぞれ見たことない髪の色をしてたからの〜」

「グロリア帝国やローレル公国という国があるレパード大陸から来たと言われたけどの〜、聞いたことない名前ばかりでものを知らなくて申し訳なかったの〜」

「最初はほんに厄介な2人が来たと思ったんだがの〜、今になってはこちらが色々助けられてほんに有りがたいの〜」

エミリオが産まれて間もない頃、クゥーさんが笑いながら話していた。

「いえいえ私達こそクゥーさん夫婦には、住むところもなく聞いたことの無い大陸から来たという怪しさこの上ない2人を受け入れていただき今でも感謝しております」

「私達もまさかレパード大陸やそこで勢力を2分しているグロリア帝国、ローレル公国が知られてないとは……この世界は広いと認識させられました」

「クゥーさん達に付いて街に行ったときも、レパード大陸の事は街の者も知らなかったし、この地に訪れる商人も知らなかったですし私達夫婦もこの中央大陸や今住んでる国、クライスラー王国も知らなかったのですから」

「この地で言われてる北の大陸、東の大陸、南の大陸も知りませんでしたし、ただ此処からかなり離れてる西の大陸のフィアット王国は聞いたことが有りますから、レパード大陸はさらに奥にあると想像できます」

エミリオはベビーベッドで話を聞いていた。

『パパとクゥーさんを比べると明らかに衣服の素材が違うのがわかる、明らかにパパやママの衣服の素材がクゥーさん夫婦の物より上等なのは俺でも理解できる…なら何故先程からパパはクゥーさん夫婦うに敬語を使ってるんだろう……』

『そっか〜、クゥーさん夫婦の方が明らかにパパやママより年上に見えるし、話を整理すると突然聞いたこともない土地から来たと言いだして、しかも今まで見たことの無い髪の色をしたパパ達を直ぐに受け入れて面倒をみてくれたからか〜、まじクゥーさん感謝!』

まさかベビーベッドに居る赤子が、大人たちの話を聞きしかも自分の置かれてる状況を整理してるとはおもいもよらぬことであろう。

『お互い話し相手が欲しいだろうし、会話を聞いていてもパパもクゥーさんもお互い心を許してるみたいだし、パパとママは俺がまだ首も座ってないからとクゥーさんの家には連れていけないから、家に遊びにきてるんだろうな〜』


近所のクゥー家族が遊びに来てない時に交わされるロザリオパパとエイミーママの会話もエミリオの好奇心を駆り立てていた。

「二人で駆け落ちを決めた時に突然目の前に現れたあのチャラチャラした老人は何だったんだろう」

「あの時は駆け落ちするしか貴方と結ばれる方法はなかったわ…私はローレル公国の第一王女、貴方はグロリア帝国の第二皇子…」

「そうだな、エイミーの家と俺の家は120年以上対立して闘っている敵だからな…」

『出てくる!出てくる!パパとママの衝撃的バックボーンが!』


時は流れエミリオは3才になった。


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