猛蔵 頭が吹き飛ぶ!
3年前に丸大豆醤油名義で書いていた小説をベースにしています。
自分が読みなおしても酷すぎる文章なので改めて大幅修正して居ます。
「びぇっくっしょぉん!」
現在の日本上空で、某ダンスユニットのDJ某のステージ衣装の様なチャラチャラした服装をした老人の入れ歯がクシャミをしたはずみで飛び出した。
上空15000mから入れ歯はもの凄い速度で落下していった。
入れ歯を落とした当の老人は慌てて入れ歯を追ったのだが、目の前には頭が吹き飛んだ男性の遺体と地面に大穴が空いていてその中心部に砕けた入れ歯があった。
『ぎゃ〜!えらい事をしてしまった!わしはただこの次元軸の日本のスイーツを食べに来たのに…』
それぞれの次元軸世界に管理者がいて、そこに住む知的生命体は管理者を神と呼んでいた。
そしてこのチャラチャラした服装の老人も別の次元軸の世界の管理者である。
『この現状はヤバ過ぎる!他の管理者の統括する知的生命体の命に関する干渉はご法度!』
チャラチャラした服装の老人はテンパりながらも色々脳内シュミレートしている。
『背に腹は変えられぬ!どこからどう見てもわしに被が有るのは逃れられない事実じゃ』
チャラチャラした服装の老人は直ぐに頭が吹き飛んだ男性の魂に触れた。
『ほほ〜この者の魂は基本綺麗じゃの、万物への優しさに満ち溢れてるの〜』
『が、この次元軸の世界には適さなかったようじゃのぅ〜、この者の優しさを利用したり嘲笑われたりされてたようじゃ!』
『力がなく、胆力も無く、優しさだけでは生きていくのは困難だからの〜』
『腐ってない魂じゃったのが救いじゃ…』
この者を老人の統括する世界で自分の代役としてスカウトした事にした。
『体はいらんからな、魂さえあれば…』
『わしのほぼ全能力をこやつに与えよう…』
他の世界の管理者の代役としてスカウトなら、魂カーストの上位者でなければクレームはまず来ない。
この世界の統治者とは事後承諾になる形であるが今回の事故はもみ消せるだろう。
頭が吹き飛んだ男のあずかり知らない場所で、転生が決まったのである。
しかも、統括管理者の代理人としての能力を与えられて。
『まっ!もしこの者が暴走した場合を考えて、魂に関する権限だけは与えないでおこう』
チャラチャラした服装の老人が入れ歯を落とす少し前に、浜辺の近くに建てたテントの脇に木暮猛蔵27才がいた。
名前は猛蔵だが、平和主義で、争いが嫌いで、両親には人は話し合えばわかると育てられた男である。
争いが嫌いなので、不愉快な事や発言をされても愛想笑いをして誤魔化してきた。
いずれ間違ったことをしなければ、皆わかってくれると信じて。
だが彼の周りの者からしたら、馬鹿にしても怒ら無いのでいつの間にかストレス解消に丁度よい立ち位置に彼は置かれていた。
猛蔵は俗に言うイジられキャラとして彼の周りの者は認識していた。
猛蔵は幼い頃から知識欲が凄く書籍やネット等で様々な知識を得ていた。
たまに周りの友人知人が知らない事を発言すると、周りからは馬鹿なくせにそういう事は知ってるんだなと言われる始末であった。
高校卒業後は測量会社に就職したが、性格のせいか会社の先輩に馬鹿にされ我慢できず辞めたあと、居酒屋の厨房やラーメン屋等飲食店関係でバイトしていた。
性格自体は真面目なのだが、友人知人の彼への態度で自分に対しての自信は無くなっていた。
幸い実家住みなのでバイトで何とか生活はできていた。
今猛蔵は浜辺に3人で来ている。
一人は猛蔵、一人は猛蔵のバイト先で一緒に働いている女子大生、一人は猛蔵の一つ上の中学での先輩だった。
猛蔵は余りこの中学の時の先輩を快く思ってなかったが、断れずたまに誘われてつるんでいた。
とにかく女性グセが悪く心の中で呆れてもいた。
ある日猛蔵はこの先輩に「猛蔵!バイト先のあの女紹介しろ!」と言われたが、猛蔵自身がその子を好きになっていたので、「あの子の事は自分も気になってるので何れ告白するので無理です」と断ったのだが、その先輩はあろう事か直ぐにその女性を口説き猛蔵に「こいつ俺の新しい彼女」と見せびらかし、しかも現在その先輩カップルと猛蔵で浜辺でキャンプしていた。
『本当に猛蔵は馬鹿だよな〜、自分の惚れた女だと判って手を出しても文句一つ言わないしwこの女は勝手に妊娠して、「貴方との子供は堕ろしたくない」とふざけた事言い出してきたから、猛蔵に女が俺の子を妊娠した事を内緒に押し付けるかなwあいつになら何してもいいしwこの女と猛蔵が籍入れたら俺の子供だと教えてあげようw俺って親切ぅ〜w』
猛蔵の先輩は自分の子供を妊娠した女性を押し付けて、更にその後も猛蔵を一切悪気を感じずからかう計画を企んでいた。
猛蔵の先輩がとんでもない事を考えていたとき、テントの影で凄い爆音と凄まじい量の砂が舞い上がった。
猛蔵と一緒に来ていた男女2人が、直ぐにその砂が舞い上がった場所に駆けつけて目にしたのは、頭が吹き飛んだ猛蔵の遺体だった。
『うける〜!最後まで猛蔵らしい〜wでもこの妊娠させた女どうするかな?猛蔵におしつけてもあいつなら文句言わないと思ってたのに…まっ!この女、階段から突き落とすか腹殴って流産させれば良いか〜w』
後輩が無くなってるのに、猛蔵の先輩は今の女性を捨てた後の事ばかり考えていた。