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21.魔族について聞いてみよう




「 ねぇフィオ、魔族は人を食べるの?」


 孤児院から宿屋へと戻り、フィオと二人一息ついている時に疑問に思っていたことを聞いた。マリー先生が言っていた魔族の話が気になったのだ。


 そう言えば、魔族や獣人族について、人間側からの話ししか聞いたことがなかったのに気づいたのだ。人間は特に魔族を悪として話す。それは本当なのか疑問だったのだ。

 そもそも、レイが召喚されたのも、その魔族と戦うためではないか……と師匠も言ってたしな。


(ーーー 王城に召喚されてたら戦ってたかもしれない相手だよね)


「いや、魔族は人間と同じものを食うぞ。人を食らうのは魔物だな」


「魔族と魔物は違うの?」


「全然違うぞ。魔族は……そうだな、人種の違い?そう言えばいいのかな?魔法が得意で知識もある。多少の違いはあれど、見た目はさほど人と変わらん。対して魔物はよくわからないんだ」


「よくわからない?」


「あぁ、黒い澱みから生まれてくるのが魔物だ。その仕組みは俺も知らんから聞くな。基本知能は低く共通言語は話さず、意思疎通は難しい。だから、生まれた瞬間から1人で生きていく。生きるも死ぬも自分次第。魔物は力が全てだから、強い奴に皆従う。従わない奴は殺される。生き残りたかったら強くなればいい。強くなって弱い奴を従わせればいい。そんな弱肉強食の世界だぞ」


 凄い世界だな。私も親兄弟はいないようなもんだったけど、優しくしてくれる人はいた。魔物なんか生きるだけでも必死な世界だな。まぁ、地球にいた動物もそんな感じか。


「まぁ、魔族や獣人族、人族だって生きるのに生き物を殺すだろ?何を殺して生きていくか……の違いじゃないか?」


「そうだね。人間は色々な生き物の命で生きているね。それと変わりはない」


 そう。それは問題ではない。人間だって殺生しているんだから偉そうな事は言えない。生き方の違いか……。


 ただ…生まれてすぐ独りで寂しくはないのだろうか?不安ではないのだろうか?


「フィオは魔族?獣人族?……魔物?どっちなの?」


「わからない。魔族とも獣人族とも魔物とも違うから………わからない」


「そっかぁ」


 フィオも一人で生きていたみたいだが、そんな環境だったのかな?

 もしかして生きるのに必死でそんな感情も育たなかったのかな…?


「もしそうだとしたら、それはちょっと寂しいな」


「ん?何か言ったか?」


「なんでもないよ」


 レイは何となくフィオを抱きしめた。暴れるフィオを宥めながら、


「フィオ、今夜は抱っこして寝ようね」


「お前は…!もっと慎みを持て!」


「はいはい」


「わかってない!」


「あ~安定のモフモフ~」


 フィオの暴言などスルーして、レイはフィオと共に眠りについた。

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