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キコリの異世界譚  作者: 天野ハザマ


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複合付与魔法ミョルニル

「さ、暗い話は此処まで!」


 パン、とアリアの叩いた手の音でキコリの思考は中断される。


「キコリの場合は大丈夫! 拙いなーと思ったら止めてあげますから!」


 言いながら、その表情は苦笑のものに変わっていく。


「……まあ、あのブレイクはちょっと予想外でしたけどね。まさか『ああいう』使い方が出来るとは……」

「あれは何というか……」

「それは置いときましょうか。とにかく今はミョルニルです!」


 そう言うと、アリアは斧を構える。

 複合付与魔法ミョルニル。いよいよソレを見られるとあって、キコリの緊張も自然と高まっていく。


「この魔法は、自分の武器に幾つかの効果のある付与をするものになります」


 その内容は、まず雷の付与。

 自分を傷つけない雷を武器に付与することで破壊力を高める効果。

 そして、自分の手元に武器が戻ってくる効果の付与。

 たとえ武器が跳ね飛ばされようと、必ず手元に戻ってくる。

 最後に、魔力が籠ることによる破壊力の上昇。


「……ん? 今破壊力が2度出たような」

「その通りです。このミョルニルはそういう『何が何でも真正面からぶっ殺してやる』っていう魔法なんですね」

「殺意が高すぎませんかね……?」

「英雄とか言われる類の人が生み出したのは、そういうの多いですよ? これも今から見せますけど、相当派手ですから」


 そう言うとアリアは斧を構え、すうっと息を吸う。

 纏う雰囲気がピリッとしたものに……あの時ウォークライを見せてくれた時と同様のものに変わる。


「……ミョルニル!」


 ドガンッと。凄まじい音と閃光が奔る。

 そして、キコリは見た。アリアの斧に雷を。

 ビリビリと大気が震えるような、強い魔力の波動。

 大地を打つ、雷の余波。

 破壊の化身のような姿が、そこに顕現していた。


「せいやあああああああああ!」


 ガオン、と。凄まじい音をたてて投擲された斧は木々に衝突すると電撃を喰らわせ、そのままアリアの手元にブーメランのように戻ってくる。

 真っ黒の炭のように焼け焦げた木の姿をそのまま敵の姿に置き換えれば、それがどれ程凄まじい魔法であるかはよく理解できる。

 アリアの手元に戻ってきた斧にはすでに雷の力は無く……たった一撃でその全てを消費したことが見て取れる。

 まさに一撃必殺。だが、魔力次第では次のミョルニルで追撃をかけることも容易いのだろう。

 しかし……そんな事よりも思うのは。


「凄い……」


 その一言に全てが集約されてしまう。

 凄い。それ以外に言いようがない。


「実際にモンスターに使う時には魔法抵抗の関係もありますし、こう真っ黒こげとはいかないでしょうけど……基本的に込めた魔力に比例して威力が上がる魔法です。すぐに次撃に繋げられるのも良いところですね」

「これなら、確かに……今の俺にピッタリの魔法です」

「そうですか? なら良かった」

「はい、ありがとうございます!」


 微笑むアリアを前に、キコリは拳をギュッと握る。

 複合付与魔法ミョルニル。キコリの必殺技に成り得る魔法だと……そう、強く感じていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 原典に忠実な魔法ですね。
[良い点] カッコいい。派手なエフェクトも必要という理由がいいですね。 しかし、現役バリバリで行けそうなアリアさんが上がりになってしまったのはなぜだろう
[一言] キコリがソーの映画を見ていた場合、これ以外の効果が現れそうな予感。
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