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キコリの異世界譚  作者: 天野ハザマ


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ドンドリウス

 ミレイヌとアイアースが町の入り口に行くと、そこには恐らくは地面の土から生成された立派な椅子に座っているドンドリウスの姿があった。


「困りますよドラゴン様……」

「困っているのは私だ。目的も果たせない上に、お前たちを吹き飛ばすのを我慢しているからな」


 門の前……ど真ん中にいるので明らかに邪魔だが、バードマンの衛兵たちもドンドリウスがドラゴンと分かるからこそ強くは言えないようだ。

 しかも退く気も一切ないようなので、本当に困る。万が一ゴブリンやコボルトが余計なことを言って機嫌を損ねでもしたら、もうどうしようもない。

 もう困り切ったバードマンの衛兵の様子を見て、ミレイヌはアイアースにチラリと視線を向ける。

 ミレイヌが何かを言って聞いてくれるとは思えないし、そうなるとアイアースに頼むしかないのだが……そのアイアースはゴミを見る表情でドンドリウスを見ていて。


「あっ」

「こおおおのアホがよおおおおおおお!」

 

 ミレイヌがアイアースを止めるより早く、アイアースのたっぷり助走をつけた飛び蹴りがドンドリウスへと放たれて。

 当然のように回避したドンドリウスの代わりに、ドンドリウスの座っていた椅子が破壊される。


「アイアースか。いきなり人を罵倒するとは何様だ?」

「そりゃこっちの台詞なんだよ! お前人間の町ごっこしてたくせに町訪問のルールも知らねえのか!」

「知っているから待っていたんだろう?」

「知ってたらこんなとこで椅子置いて衛兵困らせねえんだよ!」

「私を待たせる代償としては安いものだろう」

「うるせー!」


 アイアースの繰り出す拳をひょいひょいと避けながら話すドンドリウスだが、やがてその拳を受け止めるとアイアースを真正面から見つめる。


「それで? 全員集められたのか」

「手を貸すって確約はとった。『楽園』の奴もだ」

「そうか。ならば問題はないだろう」


 言いながら、ドンドリウスは今度はミレイヌへと視線を向ける。


「それで? そこの奴が町長でいいのか?」

「おう。ミレイヌだってよ。『前回のゼルベクト』関連の記憶を受け継いだ……えーと、ゴーストだったか?」

「……レイスロードだ」

「だってよ」

「そうか。なら、その辺りの事情と、この町の現状については町長から聞くことにしよう」


 言いながらドンドリウスはミレイヌの眼前へと移動する。


「案内しろ。私が協力するんだ、不備のないように1から10まで説明して貰う」

「わ、わかった」

「よし、行くぞ」


 ミレイヌを連れていくドンドリウスを見送ると、アイアースは別方向に現れた魔力を感じ取る。


「……次はヴォルカニオンの野郎か。ま、距離的には妥当か?」

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― 新着の感想 ―
[良い点] レイスロードでよかったですね。 生身だったら胃痛で死んでた。
[良い点] ヴォルカニオンは人間の姿してくるのか否か
[一言] 一般住民は恐ろしさしかないだろうな……
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