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キコリの異世界譚  作者: 天野ハザマ


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ユグトレイルの野郎の世界

 アイアースは、森の中で目覚めた。しかし、そこにユグトレイルの姿はない。

 どうにも草の上に寝ていたようだが……匂いを含め、本物にしか出せないものがある。

 つまり、此処は本物の世界で。しかし、先程までいた場所とは明らかに違うモノということだ。

 そしてアイアースは、この場所について聞いたことがあった。


「あー……これがユグトレイルの野郎の世界か」


 聞いたことはある。しかし、アイアースは実際に此処に来たことはなかった。

 森の中であるのは間違いない。だが、先程とは明らかに違う場所だ。

 葉が赤く染まり、僅かに地面に落ちている。今までの青々とした森とは違う、紅葉した森。

 世界樹でありドラゴンである「守護のユグトレイル」の中に内包された世界。

 先程のユグトレイルの言葉からすると、この世界に「楽園」の世界を繋げたということなのだろう。

 問題は、この場所でどれだけアイアースの力を振るえるかだが……。


「ダメだな。ドラゴンの力そのものが封印されてやがる」


 アイアースの近くに落ちている安そうな槍が唯一の武器といったところだろうか?

 戦力ダウンも甚だしいが、救いはこういうのが2度目だということだろう。

 以前キコリと別の世界に行ったときにも、ドラゴンとしての力が封じられていた。

 今回はあのときよりも更に弱体化しているが……まあ、問題はない。

 ユグトレイルの世界は、その目的で性質を変える類のものだ。

 今回の目的が「楽園」の世界に繋げるというものである以上、然程問題もない……はずだ。


「おいユグトレイル。何処に行けば『楽園』のやつのところに行けるんだ?」

『何処かは繋がっている。自分で探せ』

「無責任すぎねえ?」

『他のドラゴンの力に干渉しようというのだ。私もかなりの無理をしているのは理解してほしいがね』


 そう言われてしまえばアイアースとしても「そうだな」としか言えない。

 そもそもユグトレイルがいなければ「楽園」のいる場所に向かう手段はアイアースにはなかったのだ。それに関しては感謝している。

 だから、アイアースは大きく溜息をついて、槍を持ち起き上がる。


「……ま、こっから先は俺様の仕事か」

『そういうことだ。精々頑張るといい』


 仕方なしに歩き出すアイアースに草むらから角ウサギが飛びだしてきて、アイアースは見ることすらなく裏拳で殴って吹っ飛ばす。


「おいコラ。モンスターは片づけとけよ」

『私の都合で命を好き勝手に引っ込めたくはない。自分でどうにかするんだな』

「なんて融通の利かねえ野郎だ……」

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