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キコリの異世界譚  作者: 天野ハザマ


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破壊のドラゴンブレス

 恐らく。恐らくだが、次元城が内部で魔力を生成し、循環する……その仕組みそのものに秘密があったのだろう。

 たとえばキコリたちドラゴンは自分の魔力だけでなく世界の魔力を無制限に使うことで無限の魔力とそれによる無双の力を実現している。

 まあ、キコリはその辺りを上手く使えていないので隙も多いが、同様にレルヴァと繋がることでキコリ個人としての魔力運用力の向上、その他様々な能力を手に入れている。

 ならば……それを疑似的に再現できるとしたらどうだろう?

 たとえば、以前出会ったソイルレギオンは人間がドラゴンを目指し作った失敗作であった。

 恐らくは「創土のドンドリウス」をイメージしたのだろうが、遠く及ばない紛い物であっても「なんとなく似たような能力」を一部獲得することは出来ていた。

 

(そんなことが出来るんだ。あの次元城がドラゴンの仕組み、あるいは……ゼルベクトの仕組みの再現を狙ったものだとしたら……?)


 無限にも思える魔力。空間移動に飛行能力、そして強大な攻撃能力。自己再生はアサトの能力だが、それはキコリに分かるはずもない。


(ドラゴン、じゃない。能力分類的には……これは……)


「ゼルベクト……そうだ、人造ゼルベクト……! よりにもよって、そんなものになったのか……!」

「ゼルベクト、ねえ。あのドワーフが崇めてた神様か」

「そうだ。お前、そんなものになって……ぐっ!」


 アサトの放った波動にレルヴァの鎧がダメージを受け、ルヴの斧が砕けてキコリを切り裂く。

 再度の波動が鎧を、そして翼をも砕いて。落下するキコリは即座に新しい翼を生み出し、それを飛行しながら突進するアサトの剣が切り裂く。


「う、おおおおおお!?」

「おかげで理解できた。さっきから何か妙な感覚は感じてたんだ」


 地上の家の屋根へと落下し立ち上がるキコリへと向かい、アサトは手のひらを向ける。

 そこに集まっていくエネルギーは……次元城の機能の1つであった正面特殊魔力主砲……次元砲だ。


「俺の中の何かがお前の力を欲しがってる。それもゼルベクトの力なんだろ? なら、ゼルベクトになった俺が貰ってやるよ」


 発射された次元砲がキコリのいる場所を砕く、その前に。アサトは気付く。

 キコリの眼前に集まってい強大なエネルギーを。真っ黒なその魔力は……アサトに恐怖と、僅かな憧憬と……様々なモノが入り混じる複雑なものを感じさせる。

 それがドラゴンブレスであるなどアサトは知る術もないが……普通のドラゴンブレスではないことも当然のように知らない。

 キコリのドラゴンとしての力と、混じる破壊神の力の合わさった……破壊のドラゴンブレスとでも呼ぶべきものであることなど。当然のように知るはずもない。


「これ以上時間はかけられない。全力でお前を殺す」


 キコリ自身の安全性など一切考慮しない魔力量で構成されたそれは、アサトの次元砲を児戯に思わせるかのようで。


「……くそっ! 死ねぇええ!」

「お前が死ねよ」


 ぶつかり合うドラゴンブレスと次元砲。僅か一瞬の拮抗の後……次元砲とアサトは、ドラゴンブレスに飲み込まれていった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] やったか!?  生存フラグを立ててみました(笑) [一言] キコリがまたゼルベクトに近づいてしまうのか・・・。
[一言] 死王の威厳を見せつけていく
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