表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キコリの異世界譚  作者: 天野ハザマ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

745/837

多少はマシな空気

 キコリはルヴの斧を構えると、素早いステップでウルフライダーの前に躍り出る。


「ギ!?」

「死ね」


 ズドンと。一撃でゴブリンを真っ二つにして次へと迫る。騎手を失ったウルフはオルフェの火の魔法が一撃で黒焦げにして、そのままキコリは次のウルフライダーへと迫っていく。


「おお……」

「凄いな、あれは」


 ウルフライダーを連携して迎え撃っていたドワーフたちも、キコリたちをチラリと見てそう評する。

 冒険者として戦いを生業にしているからこそ、キコリたちの実力を理解できるのだろう。

 だがそれでも戦闘中だ。ドワーフたちは各々の武器を構えウルフライダーへと向かっていき、やがてその全てを倒し切ると、キコリたち以外の全員が安堵の息を吐く。


「はあー……ライダー系は面倒だな」

「ああ。連中、無駄に頭がいいからな。だが今回は……」


 ドワーフたちの視線が向くのは、キコリたちだ。オルフェが即座に睨み返すが、そんなオルフェをキコリが押さえる。


「ちょっとキコリ」

「いいから」


 そんなことを言い合っていると、ドワーフたちがゾロゾロとキコリたちのほうへと歩いてくる。

 そのうちの1人が、更に一歩前へ出て……ごほんと咳払いする。


「……『岩砕き』のベルだ。結構やるな、お前」

「そっちこそ。俺は『死王』のキコリだ。こっちはオルフェ」

「今回はお前たちの活躍が一番凄かった。だが、次は負けん」

「次も勝つさ」

「フン、たいした自信だ」


 言いながらベルと他のドワーフたちは馬車に戻っていくが……オルフェが「何あれ」と毒づく。


「認めるってことなんだろ」

「キコリがそう思ってるだけじゃないの?」

「ハハ……」


 どうやらオルフェの中でドワーフの評価が著しく下がったままのようだが……キコリとしては、そこまで何かを感じるような出来事でもなかった。

 獣人の最初の頃の対応よりは余程マシだし、あまり最初から期待もしていなかった。

 期待しなければ、落胆することも怒ることも何もない。だからダンとゼンの2人は良い人だとは思っても、その2人はドワーフの基準だなどとは微塵も思ってはいなかった。

 だが、それでも……どうやら、話くらいは出来そうだ。話が出来るのであれば、情報収集も出来る。

 出来ずとも、人間の国へ……セノン王国へ行くことは出来る。ならば、それでいい。

 ガタゴトと揺れる馬車の中は、それまでよりは重苦しかった空気が改善されていたが、会話が一気に増えたというわけでもなく。

 それでも、多少はマシな空気の中、キコリたちはアダン王国の王都ガダントへ到着したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版『キコリの異世界譚』発売中!
『キコリの異世界譚』1巻書影
コミック『キコリの異世界譚』も連載中です!
『キコリの異世界譚』1巻書影
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ