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キコリの異世界譚  作者: 天野ハザマ


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他の種族

「おお、そういえば。ムスペリムは初めてなんだろう?」

「どうだ、この街は?」


 言われて、キコリはこの街……防衛都市ムスペリムを見回す。

 ハッキリ言えば来たばかりなのでどうもこうもないが、それでも分かることはある。


「あっちこっちから鍛冶の音が聞こえる、な」


 そう、あちらこちらから金属を叩くカーンという音が聞こえてくるのだ。

 更によく見れば武器屋に防具屋、道具屋と金属の品を扱う店がそこら中にある。

 恐らくだが、その全てに自分の工房を備えているのだと思われた。

 だからこそのキコリの台詞はまさに「そのまま思ったことを言っただけ」なのだが、ダンとゼンには好評なようでうんうん、と頷いている。


「そうだろう、そうだろう。この音を聞くと『帰ってきた』という気がするんだ」

「鍛冶の音はドワーフの誇りだからな」

「そうなんだな……ちなみにあの店は何の店だ?」


 金属のインゴットのような看板のかかった店……「ザザンの素材屋」と描かれた店の看板をキコリが指差せば、ダンとゼンは何を言ってるんだというような顔をする。


「何の店って……素材屋だろう」

「知らんのか、素材屋」

「地元にはなかったな」

「そうか。アレはな、持ち込んだものを製錬してくれる店だ」

「腕に自信が無ければ使うのもいいぞ」


 言われてキコリはなるほど、と思う。つまりは先程採っていた金属のようなものを製錬し、インゴットにしたりするのだろう。

 冒険などで時間が取れないドワーフや、あるいはキコリのような余所者向けなのだろうが……少なくともダンとゼンは使っていなさそうだ。

 というか……1つの違和感じみたものも感じていた。


(他の種族が居ないな……)


 そう、先程からドワーフ以外の人間とすれ違わないのだ。ニールゲンでも多少ではあるが他の種族もいたのに、このムスペリムにはまったく他の種族が居ない。

 ダンとゼンに聞いてみてもいいが、踏み込んでいい話題か今のキコリには判断できない。

 だからこそ、キコリはそれに関しては黙っていることに決める。少なくとも「異邦人1日目」で首を突っ込む話でもない。

 そして……ミレイヌから貰った封書も1つしかない。このドワーフの国に託してもいいものか分からない。


(人間の国が複数あること……俺も忘れてたからなあ)


 しかも戦争はしないまでも種族間の軋轢でそんなに仲が良くないとはミレイヌも思わないだろう。

 少なくともキコリにどうにか出来る範囲で渡すならニールゲンかイルヘイル……影響力を考えればドラゴンであることを明かした上でイルヘイルに行くのがよさそうだが、ひとまずは様子見だろう。

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