表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キコリの異世界譚  作者: 天野ハザマ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

632/837

君が世界に果たすべき責任などというもの

「異世界、か」

「おや、そんなに驚かないんだね?」

「ああ」


 なんとなく、そんな気がキコリはしていた。

 世界を巡る状況、何度も出会う転生者……そして転移者だというアサトの存在。

 これだけ「そういう存在」に出会い、そのほとんどが何かしらの問題を引き起こしていた。

 ならば、その魔王だとかいうよく分からないものに関しても、そういう存在が関わっていると考えるのが普通だ。


「もう転移者には1人会ってる。そいつは悪い噂だけで本人はたいしたことは」

「んー、アサト? あいつは結構外道だよ? 逆らう奴は大抵殺してるからね」

「あー……そうか、真実だったか……」

「元の世界に帰るためにボクを探してるって話も知ってるけども。ま、戻せるわけないんだよねー。可能不可能はさておいても、あんな危険人物をどっかにポイとか無責任が過ぎるでしょ」

「確かにな。でもグラウザードだったらその辺出来ちゃうんじゃないか?」

「無理じゃないかなー? あいつ、確かに異世界には行けるけど何処の異世界とか指定できるわけじゃないし」


 海図を持たずに海に出るようなもんだよ、とシャルシャーンは笑う。


「ま、そっちはボクが監視してるから心配は要らないよ。いざって時は殺すから」

「……それもどうなんだろうな。こっちに来たのは自分の意志じゃないだろうに」

「こっちで暴れたのは自分の意志だろ? 好き勝手に生きるのは自由だ。でもそれは責任を一切とらなくていいってわけじゃあない」


 まあ、それはその通りだろうとキコリも思う。相手を殺そうとすることは、相手に殺される可能性を受け入れることだ。キコリとて、殺すか殺されるかの領域で戦うバーサーカーであるからこそ、それは身に染みている。


「異世界の人間……か。なんでそうなるんだろうな」

「そうなる素質があるのを引き込んでるんだろうね。それ自体は主犯を思えばおかしな話じゃあない」

「……それを俺の前で言うか?」


 その主犯とやらはキコリの「前世」なのだ。何と返事しても角が立ちそうだ。

 しかし……シャルシャーンはからかっているわけではなく、ひどく真面目な表情だ。


「キコリ。君が世界に果たすべき責任などというものは存在しない。それはこのボク『不在のシャルシャーン』が保証しよう。ドンドリウスの言葉に、あまり引きずられ過ぎるなよ?」

「前世の俺のやったことが、未だ世界を蝕んでいたとしても?」

「そんな単純な問題じゃないんだよ。それに、君が今気にすべきはそこじゃあないんじゃないかな?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版『キコリの異世界譚』発売中!
『キコリの異世界譚』1巻書影
コミック『キコリの異世界譚』も連載中です!
『キコリの異世界譚』1巻書影
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ