表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キコリの異世界譚  作者: 天野ハザマ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/837

そんな妙な思考はしてない

「キコリ! とりあえず木の上の叩き落としといて!」

「分かった!」


 木の上にいるゴブリンは弓は持っていないようだが、見張り役をしているのは明らかだ。

 増援でも呼ばれれば、こちらの不利が加速する。

 だからこそクーンに応えキコリは木へと走る。


「ガアアアアアアア!」

「おおっと悪いね、お前は僕が相手だ!」


 キコリに向かって吼える手甲ホブゴブリンにクーンは一跳びで接近し、鉄杖を振るう。

 ガン、と腕を狙い当てる一撃に手甲ホブゴブリンは警戒したように距離をとる。


「胸部、腹部、腕、頭、それと……腰か。ガッチガチじゃん……よっぽど金的痛かったんだなあ」


 鎧の無いところに当たれば痛いし金的は凄く……凄く痛い。

 言ってみれば、その痛みに負けたのが悔しいのだろう。

 格闘主体とは思えない重武装っぷりに、クーンは思わず苦笑してしまう。


「オラアアアアアアアアアアアア!」


 ガアン、と。響く音に手甲ホブゴブリンがビクリと内股になりながらキコリのいる方へと振り向く。

 そこには木に斧を叩きつけてゴブリンを木ごと叩き落としているキコリの姿があったが……それは、まさにチャンスだった。

 ドゴン、と。兜の隙間、手甲ホブゴブリンの鼻を狙いクーンは鉄杖で突きを入れる。


「ブゲアッ……」

「せいっ、やあああああああああ!」


 顔面を的確に狙うクーンの「突き」のラッシュ。

 最初の一撃が効いたからこその連続攻撃だが、顔面がボコボコになった手甲ホブゴブリンは顔面を手甲でガードしながらよろめく。

 しかし、その隙を逃すクーンではない。鎧に守られていない個所を狙い鉄杖を打ち込んでいき……ふと気づき、思いきり横へと跳躍する。

 そこには、手甲ゴブリンの背後に回っていたキコリの姿。

 大きいといってもホブゴブリンの大きさは人間の大人程度。

 故に……キコリの斧のフルスイングに、鎧の上からでも伝わる衝撃に、ホブゴブリンは吹っ飛ぶようにして転がる。


「うわあ……」


 慌てて立ち上がろうとするホブゴブリンの、その首に……再度のキコリのフルスイングが放たれる。

 流石に一撃で首を飛ばすことなど不可能だったが……それでも、その攻撃はキコリとクーンの勝利を確定させる一撃となった。

 そうして、倒れた手甲ゴブリンの装備を剥がして魔石を回収しながら、クーンは「流石だねえ」と笑う。


「斧持ちだからそうかなあ、とは思ってたけどさ。凄いね、モンスターを木に見立ててるの?」

「いや、そんな妙な思考はしてないんだが……」

「そう?」

「そうだよ。なんだよモンスターを木に見立てるって。怖ぇよ」

「うん。だからちょっとヒいてた」

「怒るぞ……」

「あははっ」


 笑うクーンだが……キコリからしてみれば、クーンの方がずっと凄いと思うのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版『キコリの異世界譚』発売中!
『キコリの異世界譚』1巻書影
コミック『キコリの異世界譚』も連載中です!
『キコリの異世界譚』1巻書影
― 新着の感想 ―
[一言] 蹴ってて良かった金的…………
[一言] ナイスコンビネーション! キコリはゴブをー斬る〜ヘイヘイホー、ヘイヘイホー♪
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ