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キコリの異世界譚  作者: 天野ハザマ


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バーサーカーという生き方を選んだ証

 キコリの振るった斧でサンゴは一撃で切り裂かれ海底に落ちる。

 然程強くない。強くないが……この局面でまだ、キコリは自分の中に殺意が湧いてこないのを感じていた。そしてそれは……キコリにとっては致命的だった。

 殺意はバーサーカーであるキコリの戦闘スタイルの根本にあるもの。

 それが強制的に鎮められているような感覚がある。

 勿論、殺意が無くとも戦うことは出来る。出来るが……それはただ「戦えるだけ」だ。

 相手を確実に叩き殺すための本能的な閃きも躊躇いの無さも、何もかもが消え失せる。

 それは「技」というものに欠け、戦う才能そのものにも欠けているキコリにとっては致命的に過ぎた。

 それはオルフェにドド、フェイムも同じなようで、戦いながらも3人の顔には強い困惑が見て取れる。


「精神を安定させる魔法ってこと!? なんて厄介な……」

「こんな状況なのに安らいでいる。理解できん!」

「どうしたらいいのだ? これでは戦おうという気にすらなれん」


 地面から現れるハサミを持つ虫のモンスターに、周囲を囲むサンゴのモンスター。

 どうにもハサミ虫にはサンゴの精神安定魔法が効かないか対象外のようだが、殺意を撒き散らしながらキコリを、そしてドドを襲ってくる。オルフェとフェイムの2人は高い場所にいるせいか、届かないか後回しのようだが……どうするべきか。

 とにかくサンゴモンスターを叩き切り、襲ってくるハサミ虫モンスターを踏みつけながら、キコリは考える。

 どうする。集中力すら消えて失せる。この思考すら、強制されたリラックスであやふやになりそうになる。

 どうする。再度、そう考えて。キコリの思考から必死さが消されて、リラックスした思考になってしまう。しかし、だからこそ……キコリは気付いた。


「ああ、そうか。消される前に殺意で満たせばいいじゃないか」


 そう、そうだ。キコリにはそれがある。

 向こうが殺意を消すというのであれば、此方は殺意を満たせばいい。

 出来る。キコリにはそれが出来る。

 何度も練習したからだ。ゼロから殺意を溜め込み満たし、それを放つ方法を。

 だから、キコリは「殺す」と呟く。殺意を、己の中に急速に満たしていく。

 それは殺意を己の中に急速に満たす方法。

 それは殺意を咆哮という形で世界にバラまく方法。

 キコリがバーサーカーという生き方を選んだ証でもある、最初の技。

 ウォークライ。そして……そこから変じたドラゴンロア。

 ドラゴンの殺意をバラまき全てを威圧する、魔力の咆哮。

 殺意を消されるより早く、キコリは己を殺意で満たして。そして、叫ぶ。


「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 お前たちを殺してやる。そんな練り上げた殺意の籠った咆哮が、魔力を帯び周囲へと放たれた。

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