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キコリの異世界譚  作者: 天野ハザマ


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新米魔法使い程度の魔力しかなくても

 それからも3階層の探索は進むが、キコリがマジックアクスを手に入れて本来のバトルスタイルをある程度取り戻したことで、


「イイイイイヒイイイアアアアアア!」

「うっさいボルトショット!」


 飛来するゴーストをオルフェの電撃魔法が撃ち抜き、キコリの振るうマジックアクスが残るゴーストを切り裂いていく。

 普通の攻撃の効かないゴーストであってもマジックアイテム、あるいは魔法があれば比較的楽勝な相手であり、つまるところ今の2人にとっては然程問題もない。

 むしろ問題は、ゴーストの攻撃に合わせて襲ってくる連中だろう。


「キコリ、右上!」


 オルフェの警告の直後、ガサリと音を立てて木々の間から白い毛皮の巨大サルのようなモンスターが飛び出てくる。

 腕だけが肥大化したかのようなソレはホワイトアームと呼ばれるモンスターであり、オークですら殴り殺す程の腕力を持っている危険なモンスターだ。

 いつものキコリであれば問題ないが、弱体化した今のキコリであれば命を容易に奪うだけの力を持っている。

 もっとも、それはゴーストにしたって同じことだ。体内に入り込み内部からの破壊を狙ってくる連中に比べればホワイトアームはまだ常識的な範囲とも言える。言えるが……その常識的な範囲で命を狙ってくるからこそ対処が難しい。

 ホワイトアームはキコリへ向かって急降下すると、その拳を凄まじい勢いで打ち下ろす。

 避けるにはもう足りない。半端に避ければダメージがより多くなるのは分かり切っている。なんか防御しようとしたキコリにホワイトアームはニヤリと笑って。

 ズガン、と大地を砕くような凄まじい音が響き、地面に打ち据えられたキコリがバウンドして転がっていく。

 マジックアクスを持つ手は握り放さなかったものの、防御に使った腕は完全に折れ……いや、砕けている。

 ズキズキと痛む腕は、使い物にはならないだろう。ガクガクと震える足にもヒビが入っているかもしれない。オルフェはヒールをかけるべく近寄りたいのは山々だが、ホワイトアームは油断なくオルフェを見ている。回復するべく近づけば攻撃を仕掛けてくるのは目に見えており、オルフェがあの一撃を受ければ何も出来ずに死ぬ。だからこそ近づくことが出来ない。

 単純な魔法しか使えない今、ショット系の魔法を撃っても避けられる。

 しかし、それならば。


「ウインドショット!」


 不可視の風の弾を放ち、しかしホワイトアームはそれをあっさりと後ろに飛んで避ける。それでもオルフェはウインドショットをその後を追うように数発撃って。そのまま、キコリの下へと飛び込むように走る。

 何かしようとしている。それに気付いたホワイトアームはオルフェを殺すべく駆けだして。それでも、僅かにだけオルフェが速い。


「ヒール!」


 叫ぶ声。注ぎ込む魔力。人間の新米魔法使い程度の魔力しかなくても、経験はベテランで。キコリの無茶をフォローすべく使ったヒールの練度たるや熟練の域。だからこそ、迷いなく魔力を叩き込んで。オルフェを狙いその腕を伸ばすホワイトアームの眼前に、治った足で充分に踏み込んだキコリの斧が迫る。

 そして。ガヅンッと。固い頭蓋ごとホワイトアームの顔面が叩き割れられる音が、響いた。

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