表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キコリの異世界譚  作者: 天野ハザマ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

350/837

安物だけどないよりマシかしらね

 森の中を歩いていた3体のゴブリンは、人の後姿を見た。

 無防備に歩く、人間の女。それも1人だ。武器らしい武器も持っていない。

 こんなねらい目の敵はそういない。

 ゴブリンたちは頷きあうと、それぞれの武器を構え近づいていく。

 それぞれの武器は斧、剣、こん棒。最初にこん棒ゴブリンがこん棒を振りかぶり、飛び掛かろうとして。


「ギッ……!?」


 草むらに潜んでいたキコリが腰だめにして突き出した剣に、深々と貫かれる。

 肺の中の空気を全て吐き出すようにゴファッと血反吐と空気を吐くゴブリンを刺した剣ごと蹴り飛ばし、キコリはこん棒を奪う。


「ギイッ!」

「ギギイイイ!」


 剣ゴブリンと斧ゴブリンが怒りの表情を見せてキコリに襲い掛かり、しかし剣ゴブリンが顔面にこん棒を投げつけられて倒れ転がっていく。

 自分の仲間が無様に転がっていく姿を思わず見てしまった斧ゴブリンがハッと振り返った時には、キコリはもう目の前にいる。

 ズン、と突き刺されたのはキコリが腰に差していたもう1本の剣。震える手から斧が奪われたと気付いた時にはもう、その斧はゴブリンに向かって振り上げられていた。

 斧ゴブリンにトドメを刺し、剣ゴブリンにもトドメを刺して。戦利品の斧をキコリは数度振るう。

 一番最初に持っていた斧に近いものだが、それだけに大分手に馴染む。


「どう、使えそう?」

「ああ、いい感じだ。前に使ってたのに似てる」


 腰に剣を差し、手に斧を持つ。防具が手に入ればいいのだが、どうせゴブリンサイズでは合わないだろうから期待は出来ない。何度か戦ったが、実際良い防具などありはしなかった。

 オルフェ用の杖も探してはいるのだが、ゴブリンメイジが見当たらないのでどうしようもない。

 こうして何度も誘き出して叩き殺すしか手はない。


「俺に前の力の半分でもあれば、こんな作戦しなくて済むんだけどな」

「そういうのはもうヤメって言ったでしょ?」


 オルフェに怒られて、キコリは「そうだったな」と笑う。オルフェによる囮作戦は今のところ上手くいっているが、危険は充分にある。それでもオルフェが提案し「やる」と言い張った上に作戦がこうも順調では、キコリとしては止める理由がない。

 その後も何度かの囮作戦を続け……数本のナイフに木製の丸盾、大分安物ではあるが念願の杖をゴブリンメイジから奪うことに成功していた。

 杖を抱えて「ま、安物だけどないよりマシかしらね」などと言っているオルフェを見ながら、キコリはクスリと笑う。まあ、確かに「ないよりマシ」程度なのだろうが、それでも喜んでいるオルフェを見れば「手に入って良かった」と素直に思えたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版『キコリの異世界譚』発売中!
『キコリの異世界譚』1巻書影
コミック『キコリの異世界譚』も連載中です!
『キコリの異世界譚』1巻書影
― 新着の感想 ―
[良い点] ハクスラ要素もあり…世界樹さんってば前世はご同胞? レジェンダリ装備とかが豪華なSEが流れて手に入りそうw
[一言] 力が無いのなら知恵を絞れば良いじゃない? ドラゴンの力が消えた今、人としての最大の武器は知能だよ兄貴!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ