片っ端から調べていくしかないな
候補は3つ。
クラーケンがいると思われる帰らずの海。
リビングアイテムたちのいる、生きている町。
そして……昼は燃えるようで夜は凍るような、死の砂漠。
何処に行ってもキツそうではあるが……一番常識的なのは「生きている町」だろう。
冒険者の数の多さも、それを証明している。
「……まあ、生きている町は……ない、な」
「なんで? 候補としては一番常識的だと思うけど」
「そうかもしれないが、生きている町からゴーレムが来ているとは思えないんだよな」
「ゴーレム? ああ、あー……あったわね、そんな話」
オルフェも思い出したように何度か頷く。
そう、何処からかやってくるロックゴーレム。その問題も解決しなければならない。
そして冒険者の多い「生きている町」を抜けてロックゴーレムがやってくるとは、キコリには思えなかったのだ。
「うーん……でもさ、その考えには穴があるわよ」
「穴? 何処にだ?」
「だって、あの英雄門とかいうふざけた名前の門の前にも人間たくさんいるじゃない」
「それが……あっ」
言われてキコリも気付き、思わずスプーンをシチュー皿に落としてしまう。
「きゃっ、何してんのよ!」
「ご、ごめん。でも、そうか……あの3つの何処かから来てるなら、気付いてないとおかしい」
「そういうこと。でないと、とんでもない無能ってことになるわよ此処の連中」
そう、あまりにも当たり前すぎて気付かなかった。
英雄門のすぐ近くには冒険者も居れば衛兵もいる。
ソイルゴーレムの狩場になっているのだから、かなりの数がいるのだ。
ロックゴーレムの巨体が転移門を潜れば、気付かないはずがない。
「ってことは……何か気付けないような形で来てるのか」
「でしょうね。まあ、出来そうな魔法はあるけど……ゴーレムが使うような魔法じゃないわよ」
「悪意ある何かがいるってことか?」
「そんな事知らないわよ。でも、居ても気付かないような『何か』はあるんでしょうね」
だとすると、3つの候補のうちの何処から来ていてもおかしくはない。
魔石を集めるような仕事よりもずっと難しい問題であることをキコリは今更ながらに気付いたが……受けた以上は、やるしかない。
「聞き込みできればいいんだけど……無理だろうなあ」
「でしょうねえ」
仮に出来たとして本当の話が返ってくるかどうかも保証できない。
分からない、と。そんな答えが返ってくるだろうことは知れていた。
キコリはスプーンを持ち直すと、スープを口に運ぶ。
「……片っ端から調べていくしかないな」
「それが一番話が早いでしょうね」






