表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
126/837

たぶんこの下に

予約投稿ミスってました!

申し訳ないです……!

 慌てたように逃げ去っていく残りのコボルトを、キコリは追わない。

 いや、追えないのだ。刺さった矢を抜き、ポーションを飲む。

 すでにポーション2本。あまり良い消費速度とはいえない。


「不利になったら逃げる……か。そりゃそうだよな」

 

 すでにその姿が見えなくなったコボルトたちだが、キコリは彼等の姿が突然消えたように見えなくなったのを視認していた。

 いや、あれは消えたのではない。あれは「落下」だ。つまり、それが意味しているのは。


「穴、だな。たぶんこの下に巣穴があるんだ」


 一部のウサギがそういう行動をすると本で読んだことがあるが、コボルトもそうしているということなのだろう。

 確かに敵性生物と戦うよりも隠れていた方がいいこともあるだろうし、出てきて奇襲をかけたほうがいいこともあるだろう。

 しかし、もしそうではなく単純にゲリラ戦を仕掛けにきているなら厄介だ。

 何体隠れているかも分からないコボルトたちとそんなものをしたくはなかった。

 たぶんだが、ここでコボルトの魔石を取り出すようなことをしていると襲ってくるだろうという予感もあった。

 キコリは溜息をつくと、先を目指して歩きだす。


「これ以上襲ってこないといいんだがな……」


 こればかりは希望的観測でしかない。

 襲ってきた角兎を丸盾で弾き叩き落とすと、マジックアクスでトドメを刺す。

 角兎ならば魔石を取り出していても襲ってこないだろうと膝をつくと……穴から顔を出してこちらを見ているコボルトと目が合う。


「……なるほど、角兎が主食ってか」


 試しに放り投げてみると穴から更に腕が伸びてきて、角兎をキャッチして引っ込む。

 仕方ない。コボルトに角兎の取り合いで襲われたくはない。

 そのままキコリが歩き始めると「ギイッ」という声がする。

 振り向けば先程の……たぶん先程のコボルトなのだろう。

 こちらを見ているが、なんだろう。礼でも言っているのか。

 そんな事を考えた直後、キコリは「横」へ跳ぶ。

 瞬間、キコリの背後から飛んできた矢がそのままキコリが元居た場所に突き刺さる。


「ミョルニル」


 振り向けば、そこには弓コボルト。

 投げたマジックアクスは弓コボルトを砕き、瞬間穴から飛び出たコボルトが剣を構え突っ込んでくる。

 ガヅン、と。顔面にもう1つのマジックアクスを叩きつけ、一撃でコボルトを仕留める。

 手に戻ってきた最初のマジックアクスを握り、キコリは再度の溜息をつく。


「お礼どころか追剥ぎか……? もっと持ってるだろ的なアレか……」


 モンスターとはやはり相容れない。

 それを再確認しながら、キコリは草原を歩いていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版『キコリの異世界譚』発売中!
『キコリの異世界譚』1巻書影
コミック『キコリの異世界譚』も連載中です!
『キコリの異世界譚』1巻書影
― 新着の感想 ―
[一言] 声を出したから、もしかしたら、穴から顔を出した方はお礼だったかも(笑)
[良い点] 分かり合えない定め
[良い点] あまりの手際にキコリが一瞬歴戦の戦士的おっさんに幻視した
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ