表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/837

想像以上に

 キコリとクーンがそのまま奥に進むと、森の様子が様変わりするのが分かる。

 木が切られ、何やら簡易的な壁や門のようなものが出来ているのだ。

 それは英雄門をも思わせたが、もっとチープなものだ。

 そして、何よりも。


「壊れてる……な」


 そう、バキバキに壊されていた。

「陥落した砦」というのが一番妥当な表現であるようにキコリには思えた。


「そりゃあね。こんな所に砦なんか造られたら、そりゃ皆壊すよ」

「それもそうだな」


 どういうつもりでモンスターが此処に砦を造ったのかは想像するしかないが、英雄門のようにはいかなかったらしい。

 此処を再利用するにしても、全部建て直さなければ無理だと思えるような、そんな状況だった。


「じゃあクーン。ちょっと此処に」

「うん」


 とはいえ、念には念を入れなければならない。

 クーンをその場に残し、キコリが壊れた門を通ると……その陰から、斧が振り下ろされる。

 だが、キコリはすでにそこには居ない。


「ギッ……グギャッ!?」


 マジックアクスを叩きつけられたホブゴブリンが姿勢を崩し、キコリの斧を頭部に受ける。

 ガヅンッと。激しい音をたててホブゴブリンは絶命し、周囲にとりあえず何もいないことを確認してキコリはクーンを呼ぶ。


「もういいぞー」

「うん。やっぱり何かいた?」

「ホブゴブリンが1匹。まあ、来ると分かってれば簡単だよな」

「僕ら、この前ホブゴブリン相手に苦戦したばっかりなんだけどなあ」

「ジェネラルに比べるとザコだからなあ……」

「流石に今のキコリと模擬戦とかするつもりにはならないよ」


 苦笑するクーンに、キコリはまあ、そうかもな……などと思う。

 想像以上に自分は強くなっている。

 ホブゴブリン相手にウォークライすら使う必要がなかった。

 それはクーンの言う「魔力が筋力になっている」ことが関係しているのだろう。

 しかし同時に、それが通じない相手には今後「チャージ」を使わざるを得ない場面が増えるだろうということでもある。

 まあ、それ自体はあまり問題ではないが……。


「それにしても、想像以上になんていうか……」

「前線基地って感じだよね。廃墟だけど」


 崩れた家。かまどの残骸のようなものもある。

 ゴブリンたちがここで生活を営もうとしていたことが分かる造りだ。

 とはいえ、1日で造れるような規模でもない。


「たぶん、これを巡っても相当大きい事件があったんだろうな」

「だろうね。先輩方に感謝だ」


 よく見るとかまどを最近使ったような跡があるが……先輩冒険者が野営でもしたのか、それともこの前のゴブリン軍が使っていたのか。

 

「……ま、いいか」


 どちらにせよ、放置して問題が出るものでもない。

 キコリとクーンはそのまま、廃砦を通り抜けていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版『キコリの異世界譚』発売中!
『キコリの異世界譚』1巻書影
コミック『キコリの異世界譚』も連載中です!
『キコリの異世界譚』1巻書影
― 新着の感想 ―
[一言] この竈が調査に来た人たちの使った跡なら、まさか、こんな事件が待ち受けてるとは思わなかったろうな…… だって、火を使えたんだから
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ