ショートショート㉓寡黙な男
とあるX国
戦争真っ只中であるこの国の首都では不思議と子供達の笑い声が広がっていた
戦争は国から遠い場所で起きていて首都にまで影響がないのだ
そんな首都のとある公園のベンチに座る大きな体に大きな帽子をかぶった男に近づく少女
「おじさん、後ろの木に引っかかった風船とって」
男は言う
「ワ、ワタシハブキヨウナノデ…」
少年が転がってしまったサッカーボールを追いかけながら
「おじさんボール取って」
男は言う
「ワ、ワタシハブキヨウナノデ…」
人が公園に集まり出した、時計の針は2本とも空を指してお弁当を持った人が増え始める
同時に増えるエサを求める猫の1匹が男の足に寄ってきた
男が言う
「ワ、ワタシは…」
爆音とともに笑い声は消え、公園は跡形もなく消えた
時は遡り数分前
こちらは駅のベンチで座る男が言う
「ワ、ワタシハ武器用なので…」