新章4 思いもかけぬ存在
ミッションを完遂させる為には、小型のMSI飛機地下通信路用の開発も必要だった。ケンシン部長の元には、新しくメンバーに加わった、アイカ(女性)、ミナミ、タナベの男性2人が抜擢された。新しい方式で3人とも満点のテスト結果を残したのだ、異色の発掘新人である。この新人とは異例続きでもあった。シンが短時間での会話で、こう言った。
「キョウ班長・・彼らに整形手術を望む。形成手術は確立されており、彼らが自分達が違う部署に配属される事に、強い使命感を持っているそうだ。俺には少し理解しがたい考えだが、何となく理由も分かって来た。ケンシン開発室部長に強く憧れを持っているそうなんだよな、だからどんな姿を希望するかそのモデルを見せた。苦痛を伴わない無痛の形成手術なら、メイ・リー博士がやってくれるそうだ。アイカ、ミナミ、タナベと言う名前も自らが変更したんだ。良いか?一切これからは旧名前で呼ぶな、彼らには人格がある。識別番号で呼ばれていた事に、違和感があったようなんだ。だってそうだろ?俺達だって部署に配属される時には名前が与えられていた。旧組織の一般の者達には、識別番号しか無かったんだよな・・何となく分る主張だと思ったからさ」
「そうか・・そこがシンの言う自立心と言う部分だな、分かった。それで自分達のアイデンティティの確立になるのなら、そんなに難しい手術でも無い」
「シン、話は別だが、T新人類もそれを望んだらどうする?きっと自分達の姿に違和感を持つぞ」
「その時は、そうするさ・・でも難しい手術になるんじゃ?やるのなら、早めの方が良いんじゃないのかな」
シンはその会話途中に首を傾げた。
「そうだ、成長期の肉体変更は恐らく可能だ。骨格的にもほぼ人間と同じ。ならば、どうにか今の医学技術でコウタやメイ・リー博士が居れば可能かも」
「出来るのか?」
「我々にも和良司令官が行ったようなクローンは可能。その技術が瀬戸内研究所にそのまま残っていたようだ。公にはしていないし、必要も無かったからな。だって、誰もそんな事を望む事も無いし、必要性など無かったからだ。端末があったからこそ、和良司令官は自己手術を行えたんだ」
「そう言う事か、意外に簡単に言うんで、びっくりしたけど、確かに表に出す情報じゃないわな」
「ふ・・そんなの整形外科と言うのが20世紀にはもう盛んに行われていたようだし、旧式のやり方でも先の3人は可能だ。だが、覚えておけ、幾ら形態が変化しようとも心が変化するものでも無い。その辺は医術を心得る者としては認めるものの、しっかり3人にはお前から言っておいてくれよ、シン」
「ああ・・確かに言う通りだ。組織内では、今聞いた範囲で思ったが、かなりいびつな感情があるのかも知れないなあ・・」
シンは少し憂い顔になった。




